スペインのメロディック・スピード・メタル・バンドが2002年にリリースした3rdアルバム。
全13曲収録(日本盤ボーナストラック1曲含む)。
バンドメンバー
- Elisa C.Martin:Vocals,Backing Vocals
- Enrik Garcia:Guitars,Backing Vocals
- Albert Maroto:Guitars,Backing Vocals
- Anan Kaddouri:Bass
- Jorge Sáez:Drums
- Roberto Peña de Camús:Keyboards
前作『THE HALL OF THE OLDEN DREAMS』の時と同じメンバー。
キーボーディストの表記が前作と少し違うが、同一人物である。
各楽曲ごとの解説と感想
①In The Heart Of Stone
名曲である!!
力強く美しい旋律で始まる疾走曲。出だしから甘い音色のギターの速弾きを聴く事が出来る。
キーボードの音はとても多いという訳ではないが、ここぞという時に、楽曲に華を添えて煌びやかにしている。Elisaは力強く歌い、楽曲を強固にしている。メロディアスであると同時に、ストレートな曲になっていると思った。
歌メロもとても良く、ライブで演奏されたら間違いなく盛り上がる曲であろう。
アルバム1曲目として、バッチリである。再度書くが名曲だ。
②A New World
この曲も名曲である!!
①に引き続き疾走曲である。この曲も速弾きのギターで幕を開ける。
キーボードは①よりも多く演奏されており、3:25~3:36の間奏ではキーボードソロも入っている。
また、男性コーラスがこの曲に、神秘性を加えており、それがElisaの力強く張りのある歌声と相俟っている。
それにより、曲がメロディアスであると同時に、逞しく構築されている。それにより聴く者を離さない。
③The Gates Of Oblivion
1分30秒程のインスト。キーボードのみの演奏であるが、重厚でコテコテなサウンドになっている。
ストリングス・管楽器・ハープなどの音色が沢山入っているので、キーボードを重要視している人は堪らないと思う。
④Nevermore
名曲である!!
幻想的な雰囲気で始まるミドル・テンポの曲。サビや間奏ではゆったりした感じがするが、その分、DARK MOORの強みである美しい旋律が光っている様に思えた。
ElisaはAメロ・Bメロでは力強く歌っているが、サビでは良い意味で力を抜いて、感情豊かに歌っている。
ギターソロも速弾きより、1音1音に感情を込めて演奏をしており、より心に響く音になっている気がした。歌メロも勿論良い。
⑤Starsmaker(Elbereth)
出だしはアコースティックギターやハープの静かな演奏だが、その後疾走曲へと展開する。
スリリングでドラマ性のある曲で、この曲でも豪華なキーボードサウンドや、ギターの速弾きを聴ける。
⑥Mist In The Twilight
50秒程のインスト。このインストもキーボードのみの演奏である。
ハープシコードの音が入っているのが特徴である。後半はストリングスとコーラスの壮大なサウンドとなる。
短いながらもインパクトのある曲だ。
⑦By The Strange Paths Of Destiny
全体的にミドル・テンポの曲。この曲の特徴は1番のAメロで、ギターがほぼ弾かれていない所だろう。「あれ? 入っていない」と思ったが、それ以外の所では、しっかり入っており、間奏の内、3:56~4:23ではギターソロの掛け合い(左がAlbert、右がEnrikか?)を聴く事が出来、印象的だった。
また、何と言ってもElisaとコーラス隊が歌うサビが良い。疾走している訳ではないが、メロディの力が大きいので、ライブでは観客と一体になって、盛り上がるのではないかと思う。
⑧The Night Of The Age
軽快なテンポで進む疾走曲。ストリングスが沢山入っており、豪華な雰囲気がある曲である。
ただ、他曲と比べると琴線を揺さぶる要素は少なく感じた。楽曲がメロディより、勢いを重視しているからであると思う。緩急もあまり無い。
それでも、他曲より地味とは思わなかった。
⑨Your Symphony
アコースティックギターと笛の演奏で始まるバラード曲。2番のAメロからバンド演奏となる。
激しいギターのリフや速弾きのソロは無いが、その分、優美で落ち着いた演奏を堪能する事が出来る。
Elisaも情感豊かに歌っており、特に1番のAメロでは高めの綺麗な歌声を出している。
疾走曲だけでなく、この様な光るバラード曲を作られる力量がある事を、確認出来る曲だ。
⑩The Citadel Of The Light
1分強のインスト。バンド演奏ではない。幻想的で鮮やかなハープに癒されると共に、勇壮な管楽器風の音に鼓舞される曲である。
⑪A Truth For Me
出だしの速弾きのギターから聴く者を引き付ける疾走曲。
楽曲は起伏に富んでおり、迫力がある。また、煌びやかさ・華やかさの雰囲気があり、メロスピ・ファンを喜ばせてくれる音が、沢山入っていると思う。
秀逸な曲だ。
⑫Dies Irae(Amadeus)
名曲である!!
11分程の大曲。モーツァルトの『《レクイエム》より「怒りの日(Dies Irae)」』を楽曲の中に取り入れている。
この曲は最初から最後まで、聴く者を引き込む力があり、11分という長さを感じさせない。展開も非常に上手く、耳に残るメロディやサウンドを構築しているので、飽きたり、冗長に感じたりする事はない。
コーラスの多用、派手で豪華なキーボードサウンド、そして甘い音色のギターソロも多く入っている。躍動感があり、ドラマティックな曲だ。
間違いなくDARK MOORの代表曲となる曲である。
⑬Mystery Of Goddess
日本盤ボーナストラック。淋しげなピアノで始まるミドル・テンポの曲。
この曲はもしかすると好き嫌いが分かれる曲かもしれない。何故かというと、楽曲自体はメロスピなのだが、4:12~4:36に弾かれるギターソロがメロスピ風ではないのである。
線が細く、甘い音色ではなく、男らしく逞しさも感じる王道のHR/HM風の音色なのだ。その為、この部分だけ浮いて聴こえてしまうのである。
しかし、豪華なキーボードの音などは入っているので、そこは安心(?)して良い。
サビの歌メロはAメロ・Bメロに比べると、少し印象に残りにくいというのはあった。
全体的な感想
紛れもない名盤だ。
今作は前作『THE HALL OF THE OLDEN DREAMS』と方向性は同じである。派手で豪華に装飾したキーボードの音色、うっとりとさせる速弾きのギター、荘厳なコーラスなどが沢山取り入れられている。
曲(⑪⑫など)によってはそれらが、大仰ではないかと思う程演奏されている事もあるが、その位入れて、むしろOKなのである。
メロディック・スピード・メタルは、琴線を揺さぶるメロディやスリリングで劇的なサウンドが重要であり、その辺りのツボを今作『THE GATES OF OBLIVION』はしっかりと把握していると思う。
前作『THE HALL OF THE OLDEN DREAMS』を名盤と書いたが、今作も名盤である。メロディック・スピード・メタルに興味があるなら、この2枚は是非とも聴いてほしい。
豪華絢爛でドラマティックなサウンドが好きで、興味を持っている人は、これらの作品を聴かないなんてありえないのである。
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