スペインのメロディック・スピード・メタル・バンドが4thアルバム『DARK MOOR』に先駆けてリリースしたシングル。2003年発表。
全3曲収録。輸入盤のみ。
バンドメンバー
- Alfred Romero:Vocals(Track 1,2)
- Enrik Garcia:Guitars
- José Garrido:Guitars
- Anan Kaddouri:Bass
- Andy C.:Drums
[ゲストメンバー]
- Beatriz Albert:Vocals(Track 3)
前作のEP『BETWEEN LIGHT AND DARKNESS』から大幅なメンバーチェンジが起きた。前作まで参加していた、ボーカルのElisa C.Martin、ギターのAlbert Maroto、ドラムのJorge Sáezは音楽性の違いで脱退した。この3人はその後、DREAMAKERというバンドを組んでデビューした。
DARK MOORは新しい人材として、Alfred Romero、José Garrido、Andy C.を迎えた。尚、José Garridoは『BETWEEN LIGHT AND DARKNESS』でコーラスとして参加していた。
また、3曲目を歌っているのはAlfredではなく、Beatriz Albertという女性シンガーである。
各楽曲ごとの解説と感想
①From Hell
あまり迫力の無い「ウワァ」というデスボイスと速弾きのギターで始まる疾走曲。
Aメロで演奏されるハープの音が心地良い。Alfredは力強く歌唱しており、聴いていてとても気持ちが良い。
また、1:15~1:36でコーラス隊も活躍する歌メロが、アクセントになっていると思う。
全体的にノリが良く、覚えやすいメロディでライブでは盛り上がる曲であろう。
②The Sea
4thアルバム『DARK MOOR』未収録曲。
神秘的なキーボードから始まるミドル・テンポの曲だ。
キーボードは曲に鋭さを与えており、コーラス隊がサビでは活躍している。しかし、声が小さかったので、それはミックスの問題かもしれない。もう少しコーラスを多くしたら、曲が盛り上がり豪華になったのではないかと思う。
ただそれでも、肝心のメロディがイマイチで印象に残らない。6分半ぐらいの曲だが、正直冗長に感じてしまった。
③The Mysterious Maiden(Alternative Version)
名曲だと思う。
原曲は4thアルバム『DARK MOOR』に日本盤ボーナストラックとして収録されているが、このバージョンはアルバム未収録である。
悲しげなピアノで始まるバラード曲。ギターはシンプルなリフを奏でているが、そのリフが暗くヘビーな音色である。しかし暗くも美しく、神聖さも感じる曲だ。
歌っているのがゲストのBeatriz Albertという事を除いては、原曲とほぼ変わらない。違う点は、こちらの方がギターのリフが前面に出ており広がりがある所と、2:00頃に唸り声が入っている所だ。
また、原曲はサビではピアノがずっと演奏されているのに対し、こちらでは途中でストリングスに変わる。
曲が良いので、どちらのバージョンも良いが、Alfredが繊細な表現をしているのに対し、Beatrizは朗々とオペラティックに歌っている。その為、こちらのバージョンの方が。曲を荘厳な雰囲気にしていると思う。
全体的な感想
このシングルが新体制のDARK MOORのお披露目となる。
①は疾走曲で聴き手をグイグイと引き込み、メロディも良いのだが、②は冗長な感じの曲である。ましてや何故③をゲストボーカルに歌わせたのだろうか? Alfredのバージョンがあるのだから、それを今作のシングルに収録して、ゲストのBeatrizが歌ったバージョンは4thアルバム『DARK MOOR』のボーナストラックにする。それが出来ない理由があったのだろうか?
それゆえ、全体としては中途半端な感じがしてしまった。特に②は『DARK MOOR』未収録のオリジナル曲なのだから、これがもしキラー曲なら、このシングルの価値や評判もかなり高まったであろうと思われる。しかし、そうではないので、ややもどかしさが残る作品である。
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