公演の感想 PR

雪組公演『CITY HUNTER-盗まれたXYZ-』役ごとの感想

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

皆様こんにちは、霜柱です。

私はこの間、『CITY HUNTER-盗まれたXYZ-』の感想を書いた記事を書きました。

今回は役ごとの感想を、私なりに書いていきたいと思います。

役ごとの感想

冴羽獠:彩風咲奈

新宿を拠点に活動するスイーパー。「シティーハンター」と呼ばれている。槇村香のパートナー。
スイーパーとしては1流の腕前ですが、綺麗な女性を見ると、すぐ手を出してしまう性格です。大人になった野原しんのすけみたい(笑)。

私の中では、彩風さんは真面目な役や堅物な役が上手いというイメージがありました。ですので、「どの様に演じるのか?」「彩風さんには向いていないのでは?」と観劇前は思っていたのです。

しかし、それは杞憂でした。彩風さんは見事にこの役をこなしていました。軽いノリの声や、女性に手を出そうとする演技がとても嵌まっていたのです。特に自分の事を「獠ちゃんは~」と呼ぶ所が良かったです。ここまで振り切った演技が出来るのは素晴らしい!

彩風さんの演技は『fff-フォルティッシッシモ-』のナポレオンを演じた時、「凄く上達している!」と驚きましたが、今回の冴羽獠で更に一皮剥けたと言っても過言ではないでしょう。

ただ、台詞では時折、歌は特に聴き取りにくかったです。彩風さんの低音ボイスは良い声だと思っていますが、輪郭があやふやになって、その様に声質になってしまっているのは、正直ちょっと残念な所ではあります。
もう少し活舌を滑らかにして頂いたら、もっと格好良く決まるでしょう。

ダンスの場面や銃の扱いに関しては、滑らか且つ機敏な動きだったので、その躍動感が伝わってきました。

槇村香:朝月希和

冴羽獠のパートナー。槇村秀幸の妹。

この槇村香という役はとっても男勝りな性格です。特に最初の方では「俺様は~」とか「俺たちは~」と言うので、観ていてビックリしてしまった。
朝月さんはどの様な役もこなしますが、特に『壬生義士伝』のみつ、『fff-フォルティッシッシモ-』のロールヘンなどの様な優しく母性愛のある役をこなすのがとても上手いのです。幾ら朝月さんの演技が上手いとはいえ、彩風さんと同じく「どうなるんだろう?」と思っていましたが、見事にハマっていました

ただ、トップ娘役に相応しい役かというと、それは正直疑問です。華のある役ではないし、何しろ男勝りな性格なので、ヒロインっぽさはあまりありません。
しかし、力強く堂々とした立ち居振る舞いがとても光っており、朝月さんの新境地を開いたとも言えるでしょう。

ミック・エンジェル:朝美絢

アメリカ人スイーパー。冴羽獠の元パートナー。

ミック・エンジェルは明るい(時折、能天気っぽくなる、笑)性格です。アメリカ人なので、朝美さんは台詞を言う時に、イントネーションにややクセを付けて話していました。
ステレオのアメリカ人を具現化した様な感じです。

とても華があり、朝美さんが登場しただけで、舞台が一気に鮮やかになりました。
この役もまた、朝美さんが今まで演じた役の中で重要な役と言えるでしょう。

槇村秀幸:綾凰華

元刑事で冴羽獠の元パートナー。槇村香の兄。
最初の場面で、真那さん演じるジェネラルに射殺されてしまいますが、その後は亡霊となって舞台に登場します。

この作品の中で1番地味な役ですが、同時に1番まともな役とも言えるでしょう(他のキャラが濃すぎて、笑)。
決して華やかな役ではありませんが、ハードボイルドの雰囲気が出ていたのが素晴らしかったです。茶色いサングラスも似合っていました。

私的には、今作の中で、1番格好良いと思いました。この役のさんを見て、さんのファンになった人も多いのではないでしょう?

槇村秀幸は原作で人気のあるキャラらしいですが、その理由が充分に分かります。

海坊主【伊集院 隼人】:縣千

キャッツアイのマスター。スイーパー。冴羽獠のライバル。美樹の恋人。

まずポスターで海坊主の格好をしたさんを見た時は、「本当にあの美しいさん?」と思ってしまいました。
バンダナとサングラスを着用しているだけでなく、口髭と顎髭も付けています。 宝塚らしさは殆ど無い見た目です。

話題を呼んだ役ですが、出番自体は私が予想していたよりも少なかった気がしました。しかし、迷彩柄の戦闘服でバズーカ砲を持っている姿は、それだけで迫力がありました。彩風さんとも対等に舞台に立っており、とても8学年の差があるとは思えませんでした。貫禄も充分にあると言えます。

因みに、海坊主は猫が苦手の様ですが、猫を怖がる所は打って変わって可愛らしさもありました(笑)。

海原神:夏美よう

国際犯罪組織、ユニオン・テオーペの首領。冴羽獠の育ての親。
グジャマラ王国を支配して、そこを勝手に祖国にしようとする、大変に悪い奴(笑)。しかし本人は犯罪行為をしているという自覚は無さそうです。ちょっとサイコパスが入っているのかも(笑)。

ただ、冴羽獠の事は本当に大切に思い、愛しているという事も同時に、しっかり伝わってきました
さすが夏美さんです。

銀橋で彩風さんと一緒に歌う場面があったのも良かったです。

野上警視総監:奏乃はると

警視庁総監。野上三姉妹の父。

とても偉い役ですが、良い意味でその雰囲気が出ていませんでした。仕事よりも野上冴子の結婚に関心があるようです。
結婚に関して全然乗り気じゃない冴子に、お見合い相手の写真(北尾裕貴警視正)を渡して、「見~て、見~て、 見~て」と腕を大きく広げた後、手を叩いてる動作は、やんちゃな中学生みたいで、客席の笑いをとても誘っていました。

総理に電話する場面がありますが、「安全・安心に」と言われた後、一方的に切られてしまうという始末。全然しっかりしていません(笑)。
しかし、最後の方では、ユニオン・テオーペを一網打尽にする為に動いたのは格好良かったです。

因みに上手から下手にかけて走る場面がありますが、陸上選手みたいな走り方でした(笑)。

コミカルな演技で客席を良い意味で弛緩させ、笑いを誘った演技力はさすがです。

新宿の婆:沙月愛奈

新宿の占い師。
冴羽獠や槇村香、ミック・エンジェルも占ったりしました。「こんなん出ましたけど」が口癖。

出番は少ないですがとても印象に残る役です。目や口の動かし方に婆という雰囲気がとても出ていました

ただ、沙月さんは今作で宝塚を卒業します。「退団公演なのだから、もう少し良い役を与える事は出来なかったのか?」とも思ってしまいました。

宇都宮乙【小林知花是】:千風カレン

女優。小林豊の母。
若い頃に自分の息子、豊を捨てて女優になりましたが、今ではその事を悔いています。

大人っぽい声と落ち着きさから、大女優としての風格が出ている様に観えました。

ぺぺ:透真かずき

アルマ・ダヤンの侍従長。

台詞は多くなく、また、それ程個性的な役ではありませんでしたが、台詞の一言一言に祖国グジャマラを思う気持ちや、アルマを守ろうとする優しさが出ていたのが良かったです。

ジェネラル【将軍】:真那春人

国際犯罪組織の幹部。とっても悪い奴です(笑)。

幹部という地位にいますが、あまり貫禄さは感じませんでした。それは恐らく大仰で壮大感のある台詞回しと、RPGのゲームに出てきそうなボスキャラの様な格好が理由なのかもしれません。

言わずもがな、個性的な役です。が、他の登場人物があまりにも濃いので、このジェネラルが逆にまともに観えてきてしまう時がありました(笑)。

真那さん、この役を演じるのには凄い苦労したのでは?」と密かに思っています。

アキ:愛すみれ

アルマ・ダヤンの乳母。

声質に乳母という感じがしっかりと出ていたのが見事です。何としてでもアルマと共に、祖国へ戻り建て直していこうという意思を感じられました。

シスター雪:白峰ゆり

小林豊が育った児童養護施設のシスター。

出番はほんの少しですが、声のしゃがれ具合や腰が曲がった姿勢、そして歩き方に年輪を感じました

教授:橘幸

科学者。
腰の曲がったお爺さんですが、科学者としての腕前は1流。冴羽獠と同じく、綺麗な女性が好き(笑)。

台詞はとても多く目立つ役でした。1流の科学者とエロ爺という2つの面をとても上手く、伸び伸びと表現をしていたのがとても良かったです。何故か憎めないキャラクターを実体化したと言えます。

今作で宝塚を卒業しますが、最後に花を持たせてくれた様で、ちょっと感動しました。

サリナ:妃華ゆきの

アルマ・ダヤンの侍女。

キリっとした表情でお綺麗でした。冴羽獠が手を出すのも納得です(笑)。

アルマの侍女ですが、最後の場面で裏切ります。銃を持ち、アルマを引っ叩いたりした身体を張った演技は印象に残りました

美樹:星南のぞみ

キャッツアイの店主。海坊主の恋人。
落ち着いている性格で、海坊主の事を愛しています。

槇村香と2人で会話をする場面がありますが、星南さんの台詞が多くて嬉しかったです(いつも台詞が少ない気がしたので)。

ただ、わざとなのか分かりませんが、髪型がいかにも「カツラです!」という感じがして、ちょっと気になってしまいました。

星南さんも今作で宝塚を卒業します。もう観られなくなるのは悲しいですが、今作がハッピーエンドを迎える作品で良かったですね。

政:諏訪さき

アルバイト店員。

見た目はチンピラそのもので、実際にこういう人はいそう(笑)。

演技は勿論、一言一言の台詞に、場面場面に合わせた台詞を言っていたのが素晴らしかったです。
特にキャッツアイで海坊主の言動をいちいち真似している場面は笑いを誘いました。

とてもインパクトのある役でした。

冬野葉子:野々花ひまり

シティーハンターを追うフリージャーナリスト。

この役は槇村香に負けない・・・いや、今作で娘役が演じた役の中で1番ぶっ飛んでいるキャラと言えるでしょう。
言動がいちいちギャクアニメに出てきそうな女の子そのものという感じなのです。

野々花さんはこの様な、すんごい能天気でアホンダラ(失礼)な役を、もう見事になりきって演じていました
『fff-フォルティッシッシモ-』で、少年ルートヴィヒを演じた人と同じとは到底思えません。

野々花さんの演技にはもう脱帽です。ここまで幅広い役をこなせるとは思ってもいませんでした。
今後の活躍が益々楽しみです。

野上冴子:彩みちる

刑事。野上三姉妹の長女。

冴羽獠に「お色気うっふん」を仕掛ける役です。冴羽獠を誘惑する時は声や目線の使い方に色気は勿論、艶っぽさもありました
ただ、それ以外の時では、仕事一筋のキャリアウーマン的な部分も出ており、キビキビとした動作、迫力のある声が印象に残りました

因みに、野上警視総監が総理に電話をかけている場面で、壁から三姉妹共にひょっこり顔を出している場面がありましたが、漫画の一場面の様で笑えました。

本当にさんの演技は素晴らしいです。個人的には子役というイメージがどうしても付いてしまっていたのですが、人を誘惑する役も見事にこなせるという事がハッキリと分かりました。

月組に異動してから、どの様に活躍するのか楽しみです。

北尾裕貴:眞ノ宮るい

警視正。
劔会と癒着を持っている汚職刑事です(笑)。

眼鏡をかけた姿で、見た目は真面目そうな雰囲気ですが、自分自身の欲や出世の事しか考えていない人物。

登場自体はそれ程、多くはないですがとても重要なキャラと言えるでしょう。裏表のあるこの役を表情豊かに演じていたと思いました。

織田隆治:星加梨杏

刑事。
この役の名前はどう考えても、『踊る大捜査線』で主役を演じたあの人の名前をもじってますよね(笑)。
因みに服装も、「あの格好」です。

野上冴子とはペアになって動いています。キリっとした冴子とは逆で、ちょっと緩い感じの言動を取っています。笑いも取っている場面もありました。
時折、冴子にちょっかいを出して、怒られたり肘打ちされてたりしていて、細かい部分まで作り上げている事が分かりました。

エラン・ダヤン:汐聖風美

グジャマラ王国、国王の弟。クーデターの首謀者。

映像での出番も多く、目立つ役柄でした。最後に捕まってしまい、それが映像で映りますが、「ちょっとカメラで撮んないでよ!」みたいな仕草をしていたのが印象に残りました。

今作で卒業する汐聖さんですが、卒業後もお幸せな人生を歩む事を祈っています。

小林豊:彩海せら

宇都宮乙【小林知花是】の息子。
児童養護施設で育った後、暴力団の劔会に入ってしまいます。しかし、仲間が劔会の者に殺された事をきっかけに、劔会を抜けて彼らの悪事を世間に公表としようとします。

母親から捨てられたので、当然母親には良い感情は持っておらず、その屈折した感情が、自然に且つ上手く表現されていました。また、言葉遣いは粗雑でも、優しい心を持っているという事も伝わってきました。

ハッキリした声と自然な演技でした。また、どんどん垢抜けてきているので、今後が楽しみです。

アルマ・ダヤン:夢白あや

グジャマラ王国の王女。

純で可愛らしい女の子という雰囲気が出ていました。
基本的には、ちょっとたどたどしい感じの喋り方ですが、最後の場面の映像での記者会見では大人っぽい声で、祖国を再興していくという凛とした強い意志を感じました。

ただ、17歳という設定らしいですが、それよりも幼く感じました。ちょっと声を若く作り過ぎてしまったかもしれないです。
でも・・・、綺麗で可愛いので良いでしょう(笑)。

冴羽獠【少年】:千早真央

役名の通り、冴羽獠の少年時代の役。

出番はちょっとだけですが印象に残りました。ハッキリした声、強い目力に「生きていくんだ!」という強い意志を感じました。

雪組も『お芝居の雪組』となるかも

この『CITY HUNTER-盗まれたXYZ-』は登場人物の殆どが個性的です。もう目が2つじゃ完全に足りません(笑)。

因みに個人的に特に良かったのは、男役なら綾凰華さん、娘役なら野々花ひまりさんです。
さんは先にも書きましたが、ハードボイルドな雰囲気が格好良く、立っているだけで絵になっていると思いました。
野々花さんは・・・役作りするのにとても大変だったのではないかと思います。もしかすると人によっては、うるさく感じる演技だったかもしれません。しかし、あそこまであの濃すぎるキャラを演じ切れたのには感動したのです。

悲劇より喜劇の方が演じるのは難しいと言われています。『CITY HUNTER』は間違いなく喜劇の部類でしょう。それも結構難しい方になると思います。

それを違和感なく、舞台にグイっと力強く引っ張った雪組生の芝居力は、驚異的と言っても過言ではないでしょう。

好き嫌い分かれる作品だとは思いますが、雪組生全体の芝居力の向上を確認出来る作品だとも思います。

お読み頂き有難うございました。ブログ村に参加しています。
にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。趣味はハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴く事、宝塚(全組観劇派)を観る事、美味しい物を食べる事です。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿しています。