大岡昇平『青い光』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
日本の作家、大岡昇平の恋愛小説『青い光』(新潮文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
一応恋愛小説だが・・・
「僕は君を愛しているよ」「貴方、私もよ」「2人で幸せな家庭を築こう」「そうしましょう。貴方がいれば何も不自由は無いわ」「僕もだよ」「ウフフ…」「アハハ…」みたいな展開には決してなりません。
本書はそんな甘い話ではないのです。
確かに恋愛小説ではありますが、お互いに築き上げていくのではなく、築き上げている最中のものが壊れていく内容となっています。
三角関係どころでは・・・
本書の文体は淡々としていて丁寧で綺麗なのが特徴です。余計な事は描いていない印象を受けました。しかし、だからこそ男女関係のだらしなさが際立つのです。
1人の男性があっちの女性になびいたと思ったら、今度はこっちに行く・・・。
男性だけでなく、女性もそれをするのが登場します。
もう三角関係どころではありません。何角関係なんだ?と思った程です。
これ、小説だからこそ綺麗に纏まっていますが、現実だったらもうドロドロでしょうね。
ハッピーエンドではない
正直、読む前からハッピーエンドじゃないなと思っていましたが、まさか最後(最期と言った方が良いかも)がそんな結末になるとは・・・。
津田信雄・園子夫妻、田辺公明・塩尻祐子の不倫カップル、この2組が主軸で物語は進みますが、4人共亡くなってしまいます…。
この結末を最初読んだ時、「不純な事をするとこういう目に合うよ」と言う戒めなのかな、と感じましたが、そんな単純な事だけではない気もしました。
誰もがこの作品に登場する人物になりえる事を伝えたいのではないか? と思います。また、「愛とはどんどん歪んでいくものでもあるんだよ」と示唆していると言える気がします。
ちょっとした変化やすれ違いが
最初は上手くいっていたとしても、それがどうしても続けられないのが人間です。
特に津田信雄・園子夫妻なんて最初は理想の夫婦に見えます。しかしちょっとした生活の変化や嘘、すれ違いなどが重なり段々と2人の愛は噛み合わなくなり崩壊へと向かう・・・。
いやぁ、これが結構リアルで怖かったですね。いきなりぶっ壊れるのではなく、徐々に徐々に壊れていく・・・。
他の男女コンビもそうですが、愛の弱さや醜さを結構象徴していると感じました。
簡単なまとめ
本書は1981年に刊行されました。多少時代を感じる所はありますが、大部分は2026年の現在でも充分に通用する不変の内容だ、と断言して良いでしょう。
ただ、読んでいて楽しくもならないし、明るい気持ちにもなりません。しかし、人の愛がどれほど移ろいやすく身勝手なのか? それが緻密に描かれていると言えます。
歪んだ愛を通して人間の弱さや醜さを見るのは辛いかもしれませんが、愛は綺麗で清いだけではない事を本書が教えてくれていると感じました。
文体は読みやすくて、説明も過剰でなければ不足でもない。
是非とも、興味がある方は読んでほしいですね。
お読み頂きありがとうございました。ブログ村に参加しています。![]()
にほんブログ村





