皆様こんにちは、霜柱です。

ブラジルの小説家、パウロ・コエーリョ(Paulo Coelho)の小説、『アルケミスト 夢を旅した少年』(山川紘矢/山川亜希子・訳、角川文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。

感想

夢とは? 人生とは?

内容をを大雑把に書くなら、主人公のサンチャゴという少年がピラミッドを目ざし、そこに行くまでに色々な人と出会い…という感じです。

確かに物語としてはそうなのですが、ただ単に「自分の夢や希望を叶える為に頑張りましょう」みたいな話ではありません。

自分の夢や希望を叶える為には、しっかりと自分自身を見つめて、自分自身の声に耳を傾ける事が大事だ、と言っています。

「本気で望めば夢は必ず叶う」という表面的な事で終わらないのが本書の素晴らしい点でしょう。そうでなかったら、世界中で大ヒットはしなかった筈。

また、ただ夢をひたすらに追えば良いと言っている訳でもないし、夢なんて見ずに現実だけを見ろ、と言っている訳でもありません。それ程夢とか人生というのは難しいという事でしょう。

個人的な印象ですが、哲学書/教養小説的な要素を含んでいる気がします。でも決して堅苦しくはありません。

夢とか人生とかについて考えたい人にはとても良い本です。

惹かれた登場人物は・・・

自分の夢に向かって進むサンチャゴや、後半に登場する錬金術師は確かに魅力的です。特に錬金術師の様な哲学的な人って、現実ではなかなかいないかもしれません。だからこそ、「錬金術師みたいに強く生きていけたら…」と思いました。

それと同時に強く惹かれた登場人物が別にいます。クリスタル商人です。
変化を好まず、メッカに行こうと夢見ているが、それを叶えたら生きていく理由が無くなってしまうのでは、と思っている人物です。

あとパン屋にも共感しました。
旅をしたがっていたけれど、それをせずにパン屋になった人物です。

一見すると、夢に対して消極的に見えますが、そうではないと思います。
夢に対しての距離感や価値観が、実際に夢を叶えようとする人と違うだけではないでしょうか? どちらが良いとか悪いではありません。

この2人に惹かれたのは、私自身と共通するものがあったからかもしれません。多分、現実ではクリスタル商人やパン屋みたいな人生を送っている人が多いでしょう。

ですが、本書は彼らを否定はしていません。彼らの生き方もまた人生に対する向き合い方の1つだと、言っている気がします。

もし、彼らが登場しなかったら、本書はただ綺麗事を言うだけの薄っぺらい内容になっていたのではないでしょうか?

主人公を甘やかさない

『アルケミスト』の良い所は色々ありますが、占い師、王様、クリスタル商人、イギリス人、錬金術師など様々な登場人物が主人公のサンチャゴを「少年だから」という理由で甘やかしたり過保護になったりしない部分だと思います。

彼らはサンチャゴを1人の人間として扱っています。でもそれは逆に言うなら、「自分で考えて行動して、自分で責任を取れ」という事です。

また、彼らはその場しのぎの慰めや、表面的な楽観な言葉で取り繕ったりもしません。

こういった点も魅力的な部分と断言して良いでしょう。

夢を叶えるという事は・・・

サンチャゴはピラミッドに辿り着くまでに数多の困難な目に遭います。時には命からがらの目に遭う事もあります。

本書はあくまで小説なので、そういう風に描いている部分があるかもしれません。
でも、もしかすると「夢とは決して理想論や美辞麗句で叶えられるものではないんだよ。夢を叶えるという事は、時にはそれ程の覚悟が必要なんだよ」という事を言いたいのでは?と推測します。

印象に残った言葉

本書には結構印象に残る深い言葉が出てきます。ただ、それを全部引用したら大量になってしまうので、特に印象に残ったのを1つ引用します。

夢が実現する前に、大いなる魂はおまえが途中で学んだすべてのことをテストする。それは悪意からではなく、夢の実現に加えて、夢に向かう途中で学んだレッスンを、おまえが自分のものにできるようにするためだ。ここで、ほとんど人があきらめてしまう。
(略)すべての探求は初心者のつきで始まる。そして、すべての探求は、勝者が厳しくテストされることによって終るのだ。

錬金術師の言葉です。

私も学生時代、夢がありました。それを叶えようとしましたが叶わずに終わってしまいました。なので、この錬金術師の言葉はかなり刺さったのです。的を射ていると言えるでしょう。

「学生時代に本書を読んでいたら・・・」と思ったりもしましたが、今嘆いても仕方がありません。私の場合は、残りの人生をどの様にして自分の魂と向き合いきれるかにかかっている気がします。

簡単なまとめ

夢を語る本は沢山ありますが、本書『アルケミスト』はその中でも群を抜いて素晴らしいと言えるでしょう。

若い時に読むと鼓舞されるかもしれませんが、年齢を重ねてから読んでも、別の見方が出来て面白く感じると思います。
クリスタル商人やパン屋って若い頃には惹かれないかもしれませんが、中年以降の人だと、恐らくクリスタル商人やパン屋の人生に共感出来る部分があるのではないでしょうか?

世代を問わず、読んでみてほしいです。

また、「自分には夢が無い」と思っている人でも是非、読んでみてほしいですね。夢そのものが分からなかったり見つからなくても、人生に対する見方の参考にはなる気がします。

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ABOUT ME
霜柱
宝塚(全組観劇派)を観たり、読書(特にジャンルは決めず)をしたり、HR/HM(特にメロハー・メロスピ・シンフォニック)を聴いたり、スイーツ(特にパフェ)を食べる事が好き。これらを主に気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿中。