皆様こんにちは、霜柱です。
この間、私は月組公演『GUYS AND DOLLS』の感想を書きました。
今回はこの作品の役ごとの感想を書いていこうと思います。
役ごとの感想
スカイ・マスターソン:鳳月杏
ギャンブラー(クラップシューター)の役。
この役は過去に大地真央さん、紫吹淳さん、北翔海莉さんが演じていました。
私は紫吹さんと北翔さんのスカイを観た事はありますが、それぞれ良かったです。
鳳月さんのスカイはスマートさがあって洒落ていましたね。
紫吹さんや北翔さんと比べると、キザさや男臭さはあまり感じなかったです。しかし、格好付け過ぎていない所がむしろ格好良かったと言えます。
自然体の台詞回しや歌も気持ち良く耳に入ってきました。とても心地が良いと言えます。
食べ物に例えるなら非常にツルツルっとしたそうめんという感じです。
見事にこの役に嵌まっていたと言えます。
過去作の焼き増しにならずに、鳳月さんにしか作れないスカイを見事に体現していたと断言して良いでしょう。
サラ・ブラウン:天紫珠李
ブロードウェイ支部の救世軍の軍曹の役。
男性に気を許さない役ですが、それを見事に演じていたと言えます。打って変わって酔っ払った時は、その表情や声のニュアンスに的確な変化を出していました。
特に素面から酔っ払うまでの過程の表情の機微が、とてもリアルで上手かったです。その変化が可愛らしくも観えました。
ハリのある声も良かったすね。それだけでなく声の芯ががっちりしていると感じました。
歌も上手かったです。高音の部分はほんの少しばかりかすれている様に聴こえた所はありますが、逆にそれが味だったと思います。
予想よりもこの役が似合っていました。天紫さんの代表作と言って良いでしょう。
トップ娘役としての魅力も更に出てきており、キラキラ感もパワーアップしていたのを感じましたね。
ネイサン・デトロイト:風間柚乃
ギャンブラーでクラップゲームの主催者、ミス・アデレイドの婚約相手の役。
もう風間さんの演技や歌は本当に良かったですね。安心感と安定感があります。
14年間結婚に踏み出せない意気地の無さや、ギャンブラー達をしっかり仕切ろうと躍起になっている姿は人間臭さを感じました。良い意味で「こういう人いるよね」という存在を舞台で表現していたと言えます。とは言っても、14年も結婚に踏み出せないのは流石に長すぎますが(笑)。
ダンディーなイケオジの様な雰囲気にも惹かれましたね。
ナイスリー・ナイスリー・ジョンソン:礼華はる
ネイサンの仲間でギャンブラーの役。
コミカルさがある演技が面白く、歌も上手かったです。特に「Sit Down, You’re Rockin’ the Boat」を歌う場面では目を引きました。
因みにこの歌は主にナイスリーが歌います。ただ、以前のバージョンではスカイが主に歌っていました。原作の演出に戻したとの事ですが、私はそれを観た事が無かったので新鮮に感じましたね。
背が高くスタイルも良いので、どこにいても目が行きました。
ミス・アデレイド:彩海せら
「CLUB HOT BOX」のスターで、ネイサンの婚約相手の役(役替わり)。
ポスターを見た時は可愛らしいと思いました。ですので「可愛らしい妹キャラみたいにやるのかな?」と予想していたのです。
ところが、実際に舞台を見たら姉御の様な迫力があったので驚きました。
綺麗な女性をしっかりと描いていましたが、少し男っぽさもあった様な。
でも、それがある事により他の登場人物と更に差を付けていたと言えるでしょう。
歌・演技・ダンス、どれも素晴らしかったですが、特に「Amazing!」と思ったのが歌です。彩海さんの歌が上手い事は知ってはいましたが、身体がビビビッと痺れる程の力強い歌声だったのです。伸びやビブラートが本当に凄かった! 音圧(歌圧?)に圧倒されましたね。
今作での彩海さんの歌は大砲の弾の様な威力と言っても過言ではない。
見事過ぎます。
この役を演じた事により更に一皮剥けたでしょうし、また、彩海さんの代表作に挙げても良いと思います。
アーヴァイド・アバナシー:悠真倫
救世軍兵士で、サラの後見人の役。
終始温かみのある演技が舞台を和ませました。どっしりとしてながらも人から信頼を引き寄せる柔らかみがあるとも感じましたね。
第2幕でソロを歌う場面がありますが、朗々として安心感のある歌声でした。
久しぶりに悠真さんの歌声が聴けて嬉しかったです。
カートライト将軍:梨花ますみ
救世軍の将軍の役。
貫禄があり、一語一語に言葉の重みを感じました。登場するだけで場を引き締めたと言えます。
後半ではコミカルさを良い塩梅で表現していたのも印象的でした。
ミミ:白雪さち花
「CLUB HOT BOX」のダンサーの役。
いつも元気一杯で明るくてノリが良い女性という雰囲気が前面に出ていました。
出番は多くないですが、ネイサンがギャンブルから抜け出せていなかった事をアデレイドに示す重要な役を担っていたと言えます。
今作で白雪さんは宝塚を卒業します。
ゆくゆくは月組の組長となって更に活躍すると思っていたので、本当に寂しい限りです。
どうかご卒業後も元気一杯な第2の人生を歩まれる事を心から祈っています。
ベニー・サウスストリート:夢奈瑠音
ネイサンの仲間でギャンブラーの役。
安定した演技と歌が良かったです。ナイスリーを演じた礼華さんとのバランスもバッチリでした。
ただ、あまり印象には・・・。
ブラニガン警部:佳城葵
ニューヨークの警部の役。
過去に演じた方と比べるとサッパリした様な演技だった気がしますが、それで良かったと思います。これがもし勢いがありすぎたりしたら、逆に浮いてしまったかもしれません。
なので、非常に良い塩梅だったと言えます。
佳城さんも登場しただけで目を引きましたね。
ビッグ・ジュール:英かおと
シカゴのギャンブラーの役。
予想よりも笑いを取っていて面白かったです。
ギャンブラーの雰囲気もありましたが、個人的には大学デビューしようとしているが、空回りして上手くいかず周りから少し浮いている男子大学生の様に観えました(笑)。
ですが、それが却って舞台の流れのメリハリになったと言えるでしょう。
サイコロを投げる時の時々気の抜けた掛け声もかなり印象的。
あと、薄ピンク色のスーツも似合っていましたね。
英さんの演技も本当に圧巻です。
ホット・ボックス・ドールズ:彩みちる
「CLUB HOT BOX」のダンサーの役(役替わり)。
台詞は少なかったですが、追随を許さないその可愛らしさは、観ていて目がハートになりました。
それだけでなく、やはり表情の機微がとても上手いんですよ。
どの様にして自分の魅力を出せるか? それを彩さんはしっかりと把握している気がしました。
今作で彩さんは宝塚を卒業します。
本当に寂しい気持ちで一杯ですが、ご卒業後もお幸せな人生を歩む事を心より祈っております。
ハリー・ザ・ホース:柊木絢斗
ギャンブラーで、ビッグ・ジュールの仲間の役。
迫力のある演技が場を支配していました。それだけでなく時折凄みのある表情も見事です。
また、台詞の一語一語に力がこもっていました。男役の色気もプンプン出ている様に感じました。
他のギャンブラー達とは明らかに一線を画す様な存在を、舞台で表現していたと言えます。
ジョーイ・ビルトモア:大楠てら
ビルトモア・ガレージの持ち主の役。
出番はほんの少しでしたが、危険な男という雰囲気が出ていました。
足を机の上に置いて座っている姿は様になっていたと思います。
ラスティ・チャーリー:瑠皇りあ
ギャンブラーの役。
シャープで可愛らしい風貌だったので登場すると目で追いかけました。
特段、目立っていた訳ではありませんが、華やかなオーラが出ている様に感じました。
MC:爽悠季
「CLUB HOT BOX」のMCの役。
「CLUB HOT BOX」のダンサー達が歌い踊る前にMCをします。
キリっとしていながらも爽やかさのある声が心地良かったです。
出番は非常に限られていましたが、観客に印象付けたでしょう。
因みに、2002年に上演された時この役はネイサンと台詞を多少交わしてました(2015年版はどうだったっけ?)。
しかし、今回の再演ではそれが無かったので、少しばかり寂しく感じました。
爽さんは今作で宝塚を卒業するので、その部分は変えないでほしかったですね。
ご卒業後の人生も幸多きものとなる事を心より祈っています。
芝居心ある出演者が多いと充実感が増す
今作でも〈お芝居の月組〉は健在でした!
出演者は本当にそれぞれの役を深掘りしているのが分かります。再演作の場合は一応、以前上演されたものをチェックしていると思いますが、自分の色をどのくらい出したら良いのか? どこまで踏襲するべきか? そう言った事を結構考え込んでしまうでしょう。
しかし、どの登場人物にも新しい命が吹き込まれており、単なる再演ではない事が今回観て感じました。新しい『GUYS AND DOLLS』は本当に秀逸です。
今作に限りませんが、やはり芝居心を持っている出演者が多いと、観た後の充実感がより増す気がします。
次回の本公演『RYOFU』『水晶宮殿(クリスタルパレス)』がどの様に仕上がるかが、今から楽しみです。
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