ラルフ・イーザウ『盗まれた記憶の博物館』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
ドイツの作家、ラルフ・イーザウ(Ralf Isau)が書いたファンタジー小説『盗まれた記憶の博物館』(酒寄進一・訳、あすなろ書房)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
ボリューム満点のファンタジー
『盗まれた記憶の博物館』は上巻と下巻併せて約830ページのボリュームです。なので、とても読み応えがありました。大長編の映画の様な感じです。
勿論、ただページ数が多かっただけではありません。
本書は現実の世界と、クワシニアと言う記憶から忘れられたもの達が集まる国の2つを跨って展開します。それぞれがどの様に絡み合って影響を与えているのか? 見所や盛り上がる場面が多かったと感じました。
個人的にはセミラミスとの対峙、2つの顔を持つクセハーノとの闘いの場面は手に汗握りましね。
個性的なキャラが勢揃い
本書は14歳のジェシカとオリバーのポロック姉弟が主人公です。ジェシカはコンピューターに通じていて、オリバーは芸術的なセンスがあります。
クワシニアには個性的なキャラが沢山登場します。
一部を挙げると、ニッピ―(ガラスの小鳥)、将軍コフェル(外套)、エレウキデス(老人)、ペガサス、セミラミス(女王・クセハーノの母)、ツップフ(絵筆)、レカーナ・スエカリク(アンナハーグ山の図書館員)、クセハーノ(クワシニアを制している者)などなどです。
独創的なキャラが目まぐるしく現れるので、それにより物語が退屈せず上手く緩急が付いていると感じました。よく、この様なキャラを次々と考え付くなと舌を巻きましたね。
現実の世界ではミリアム・マッカリン(博物館の学芸長)、ヤーノシュ・ハイドゥク(教授・博物館館長)という重要人物が登場します。クワシニア程独創的なキャラが出ると言う訳ではありませんが、その分、クワシニアとの対比がハッキリしていると言えるでしょう。
ミヒャエル・エンデの再来と言われている
本書の作者、ラルフ・イーザウはミヒャエル・エンデの再来と言われています。この作品を読んでエンデの『はてしない物語』を彷彿とさせられた方も多いのではないでしょうか?
確かに考えさせられる所があります。大事な記憶を失う事が何をもたらすのか? それを読者に問いかけている様な場面が何ヶ所かありました。
そういった点がエンデと共通するのだと言えるでしょう。
名言
登場人物であるレカーナ・スエカリクの言葉で印象に残ったのがあります。
それを引用します。
頭では真実を知っていても、心がそれを隠すことがある
本当にその通りです。こういう場合の真実って目を背けたくなるものが多かったりします。
私も自分の人生の中で真実を隠した事は何回もあるので、非常に身に染みます・・・。
簡単なまとめ
ミヒャエル・エンデの作品が好きな方、ファンタジー小説が好きな方なら楽しく読む事が出来るでしょう。
個性的なキャラも多く、起承転結もしっかりしているので退屈せずにどんどん読めると思います。
ただ、少し大きめで厚みもある単行本なので、外で読むのは大変な部分があるかもしれません。
是非とも、ご自宅でじっくりとクワシニアの世界を味わってほしいです。
お読み頂きありがとうございました。ブログ村に参加しています。![]()
にほんブログ村





