『ノディエ幻想短篇集』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
私はこの間、『ノディエ幻想短篇集』(篠田知和基・編訳、岩波文庫)を読みました。
ノディエというのはフランスの小説家、シャルル・ノディエ(Charles Nodier)の事です。

今回はこの短篇集を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
どの話も確かに幻想的だが・・・
本書には短篇が6話収録されています。どの物語も不思議だったり不気味だったりする要素があります。
なので、読み進めるうちに「一体どうなっていくんだ?」と、読者を惹き付ける作品が多いと感じました。
内容的には難解ではないと思いますが、1つの場面を説明するのに「あれもこれも、それでこうなってああなって・・・」みたいにとにかく事細かく書いているのです。
段落も少なく、字がビッシリです。「本なんだから当たり前でしょ」と思うかもしれませんが、最初読んだ時はちょっと驚きましたよ。ちょっと不注意になると「あれ、どこ読んでたたっけ?」ともなりかねなかったですし。
特に「スマラ」と「トリルビー」にそれが顕著に出ていると感じました。状況説明の描写はガーっと描いている時が多いですし、登場人物の台詞も1度喋りはじめると「いつまで話しているんだ?」という気持ちが起きないでもなかったですし(笑)。
なので、その筆の勢いにもう圧倒されましたね。ここまで綿密に書けるのは凄いと言えるでしょう。
私が読んだ、この岩波文庫版は後書きなども含めて約250ページくらいです。決して多いページ数ではないです。でも読み応えがかなりあり、読後は体にズドーンと来るものがありました。
2回以上読めば段々と物語が掴めるかも
本作はもしかすると、1回読んだだけでは内容がよく分からないかもしれません。特に「スマラ」と「トリルビー」は。
ですが、何回も読む事によって内容を把握出来たり、物語の細部に目が行くのではないかと思います。少しずつ魅力が出てくる作品だと言えるでしょう。
各短篇について
夜の一時の幻
本書の中で1番短い作品で、ページ数にすると約10ページくらいでした。
精神病院に入院している人が、既に亡くなったオクタヴィという女性について話している作品ですが・・・。
正直、あまり印象に残らず刺さりませんでした。
スマラ(夜の精)
結末を先に書くと、主人公のロレンツォが見た夢の内容が書かれています。
とにかく色々な事が起きまくっていました。登場人物も多種多様で、展開も混沌としている感じでした。魑魅魍魎だったかもしれません。
描写や台詞がガーっと書いてあるのも特徴的です。
面白かったですが、詰め込み過ぎな気がしないでもない・・・。でも、「この後どうなるんだ?」と先が気になる構成にはなっていたので、途中で飽きる事は無かったです。
映画化しても面白そうな気がします。誰か映画化してくれないかな?
トリルビー アーガイルの小妖精 ―スコットランド物語―
この作品もとにかく字が多い(笑)。
「スマラ」と同じく、勢いに溢れている描写とトリルビーの台詞が特徴的と言えるでしょう。
作品的には大仰、劇的、悲劇的な感じです。風景などは美しく緻密に描写しており、トリルビーとジャニーという女船頭の会話はドラマティックさを感じました。
もしかしたら、読むのに少し気合いがいるかもしれませんが、読後は「なんか凄いな」と思えるのではないでしょうか?
青靴下のジャン=フランソワ
主人公はジャン=フランソワ・トゥーヴェという青年で、いつも青い靴下を履いているのが特徴です。
頭はとても良いらしいですが、偏執狂なところがあります。
謎が残る展開が印象に残りました。
ジャン=フランソワはどの様にして王妃の死を知ったのか? また、何故彼も後日亡くなってしまったのか?
主人公の父親が発した❝真理は無用なり❞と言う言葉もインパクトがありましたね。父親が主人公に対して「ジャン=フランソワの事をあまり喋るんじゃない」という意味と解釈しましたが、それだけではないのかも・・・。
死人の谷
これも結末が「おぉ・・・!」という感じでしたね。一体誰の死体だったのか?
描写からするとパンクラス・シューケっぽいですが・・・。ではそうだとしたら誰が彼を殺したのか? 彼と一緒にいたコラス・パプランか?
謎が残りますね。
それにしてもコラス・パプランは人間なのか? それとも悪魔だったのか?
ベアトリックス尼伝説
「そういう風に来るか!」と少し驚いた美しい話でした。
それにしてもレーモンがろくでもない。そのせいで、ベアトリックスは1度堕ちてしまったのかもしれません。彼がちゃんとベアトリックスを愛していたら、その後の展開は変わったでしょう。
簡単なまとめ
本作はボリュームがあって味わい深い幻想短篇小説集となっています。特に「スマラ」と「トリルビー」は読んでみてほしいです。
ただ、内容が濃いので1回読んだだけでは消化しきれないかもしれません。そうしたら、もう1回読む、それでも何かあれば、もう1回読む。それを繰り返していく事によって、シャルル・ノディエが描いた世界にどんどん染まっていけるのではないでしょうか?
幻想系の小説が好きな人は是非とも読んでみてほしい作品です。
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