日本のヘヴィ・メタル・バンドが2020年にリリースした作品。
全13曲収録となっているが、8曲目から13曲目はカラオケなので、実質7曲である。
通常盤と初回生産限定盤があり、初回生産限定盤には「Babel」のPVと、ダミアン浜田陛下とメンバーの対談を収録している。
バンドメンバー
- ダミアン浜田陛下:Words,Music,Produce
- さくら“シエル”伊舎堂:Vocal
- 大地“ラスプーチン”髙木:Guitar
- 秀貴“ジル”栗谷:Guitar,Bass
- ケン“アレイスター”宮嶋:Bass,Keyboards,Mellotron
- マスヒロ“バトラー”後藤:Drums
- 宏美“ローズ”稲益:Chorus
聖飢魔Ⅱの創始者、ダミアン浜田陛下が、伊舎堂さくらとプログレッシヴ・ロック・バンド、金属恵比須のメンバーを洗脳し僕(しもべ)とし、「改臓人間」にして結成された。
ダミアン浜田陛下は作詞・作曲・プロデュースのみで、ギターを弾いたり歌ったりはしていない。
Damian Hamada’s Creatures公式サイト:https://www.damianhc.jp/
各楽曲ごとの解説と感想
①聖詠
不穏なコーラスから始まるミドル・テンポの曲。歌詞は英語だが、コーラスがかなり加工されている為、歌詞カードを見ないと聴き取れない(見ても聴き取りずらいが)。
ヨーロッパのエピック・メタル・の始まり方にホラー要素を加えた感じである。
ダミアン浜田陛下のソロ・アルバム『照魔鏡』の「世界破滅への序曲」のメロディが盛り込まれているのがニクイ。
②Babel
今作のリード曲。メロディアスな疾走曲であり、出だしのギターから聴く者を引き込んでくれる。ツボを突いたメロディやリフが多いので、非常に印象に残る曲である。
キーボードの音色もここぞとばかりに、曲を盛り上げるのに一役買っている。また、シエルの青臭さは残るが、力強い歌声が瑞々しく新鮮味があるので、それが、バンドの演奏を活気づけていると思う。
③Heaven to Hell
美しい幻想的なハープとコーラスから始まるミドル・テンポの曲。コーラスが終わるとバンド演奏へと展開する。
メロディはゆったりとしているが、時折入るパイプオルガンの音色が、曲を不気味にさせている。
盛り上がったりする曲ではないので、リズムに身を任せて、聴く事に集中する方が良い曲だと思う。
④Running like a Tiger
軽やかなギターを、中心とした演奏で始まるミドル・テンポの曲。ノリの良いアメリカン的なハード・ロック調の曲である。
楽器の音色が気持ち良く、歌メロも印象に残る。ライブで演奏したら盛り上がるのではないだろうか。
⑤三枚の照魔鏡
今作で1番のお薦め曲である。
今作で1番聖飢魔Ⅱっぽい曲の様に感じた。
キーボードの使い方が絶妙で、ダミアン節が出ている。また、1:37~2:50のギターソロを含めた演奏は凝っている。テクニカルに走るのではなく、しっかりと曲を聴かせる事を、忘れない構成になっていると思った。
ノリもメロディも良く、聖飢魔Ⅱの9thアルバム『メフィストフェレスの肖像』に入っていてもおかしくない曲である。
⑥Lady Into Devil
アコースティック・ギターで始まるが、すぐにヘビーなバンド演奏へと変わる曲。速さはミドル・テンポ。
他曲と比べると、シンプルな作りになっている様に聴こえる。バンドはひたむきにタイトに、淡々と演奏をしている印象を受けた。
⑦Sacrifice of Love~主よ、人の欲望の悲しみよ
シンフォニック・メタルの要素があるミドル・テンポの曲。不気味なコーラスやキーボードを多用しており、他曲より広がり感がある曲だ。
オーケストラを加え、コーラスをもっと足したら、NIGHTWISHの『DARK PASSION PLAY』に入りそうな曲になりそうな気がする。
※⑧~⑬は②~⑦のそれぞれのカラオケ・バージョンなので割愛する。
DVD収録内容の感想
初回生産限定盤のみ「Babel」のPVと、ダミアン浜田陛下と改臓人間達の対談が収録されているDVDが付いている。
「Babel」のPVはSony Musicから公式としてYoutubeにアップされているが、DVDの方には聖詠の演奏から収録されている。それだけではなく、冒頭でデーモン閣下がナレーションで参加している! デーモン閣下の姿は映っていないが、ファンはそれだけでも充分であろう。
ダミアン浜田陛下と改臓人間達の対談は、36分も収録されている。詳しい内容はあえて、ここでは書かないが、まずは動いて話しているダミアン浜田陛下に感激した!
また、メンバー達は厳かな雰囲気を出そうしているのだが、全員笑いを堪えていた。ダミアン浜田陛下は言い間違いをしたり、お茶目な事を言ったりなどする場面もあった。
なお、対談の内容は『旧約魔界聖書 第Ⅱ章』に続いている。
全体的な感想
全体的にはダミアン節が随所に出ている、メロディックな作品となっている。特にギターソロとキーボードの使い方に強く表れている。
楽器陣はとても安定した演奏であり、シエルのボーカルも力強い。技巧に走らず、メロディを重視している作品だ。
やはり、ダミアン浜田陛下の作る曲は中毒性がある。聖飢魔Ⅱに提供した曲や、陛下自身のソロ作『照魔鏡』と同じ様に、何回も聴きたくなってしまう。陛下の作る曲は、不思議な心地良さがある。「こういうメロディやリフならリピートして聴きたくなる」ツボというのを押さえるのが得意なのではと思ってしまう程だ。
ただ、少し難点を書くなら、まず全体的に曲の雰囲気が似すぎていると思う。特にギターの音は、どの曲も丸みを帯びた様な音なので、曲によってはギターの音色を尖らせた様な音にする、もしくはバラード曲を入れるとかすれば、より良くなったのではないだろうか。
また、シエルのボーカルは力強く瑞々しいが、やや舌っ足らずで青臭く感じてしまった。だが、それが逆に特徴とも言えるのかもしれない。
そして、②~⑦のカラオケ・バージョンが収録されているが、正直これは不要だろう。単純にミニ・アルバムとしてリリースする事は出来なかったのだろうか?
と書くものの、上記の事を含めても、今作はダミアン節に満ちている作品になっている。その為、ダミアン浜田陛下のファンは勿論、聖飢魔Ⅱのファンは迷う事無く、手に入れるべきだろう。
※因みに、私がタワーレコードで購入した際、下記の缶バッジが特典として付いた。粗い写真で申し訳ないが、実際はもっと綺麗な青みの缶バッジである。
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