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花組公演『アルカンシェル~パリに架かる虹~』役ごとの感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

私は先日、花組『アルカンシェル~パリに架かる虹~』の感想を書きました。

今回は役ごとの感想を書いていこうと思います。

役ごとの感想

マルセル・ドーラン:柚香光

「アルカンシェル・ド・パリ」のダンサーの役。

最初登場する時はレビューの燕尾服姿で登場しますが、もう格好良くて素敵で!
登場した瞬間、一気に柚香さんに目が行ってしまいますね

今作では「アルカンシェル・ド・パリ」の舞台や仲間達を守る為に奮闘します。
また、どこか影のある役だったので、それも相俟って魅力的でした。

2幕目最後の方で星風まどかさんとデュエットダンスをした後、柚香さん1人だけでダンスをする場面があります。

その時の、滑らかで優美な動き、腕や足などの美しい曲線。
観ていて本当に惚れ惚れしました。

ただ、『アルカンシェル』は一本物なので、ダンスの場面が必然的に少なくなってしまいます。柚香さんの踊りを沢山観たい人は今作は物足りなく感じるかもしれません。

私も正直、少しその様に感じましたが、最後にこうして柚香さんの為に場面を作ってくれたのは嬉しかったですね。

柚香さんが宝塚をご卒業されるのが信じられません。
トップスターになってからコロナ禍による公演中止・延期が相次ぎ、本当に大変だったと思います。尋常ではない苦労や悲しみなどがあったでしょう。
しかしそれでも柚香さんは花組のトップスターとして組を牽引してきました。

本当に宝塚に入団して下さり有難うございます。
2024年5月26日(日)付でご卒業されますが、その日まで応援させて頂きます。
そして、ご卒業後もご多幸な人生を歩む事を祈っております。

カトリーヌ・ルノー:星風まどか

「アルカンシェル・ド・パリ」の看板スター、歌姫の役。

ちょっと気の強い性格の役でしたが、それをしっかりと自然に表現していました。

また、星風さんは歌・演技・ダンス、3拍子揃った実力派で、今作でもそれを発揮されていたと思います。

星風さんも今作で宝塚をご卒業されます。

研4で宙組のトップ娘役に就任し、その後専科を経て花組のトップ娘役に就任しました。
最初、「柚香さんと星風さんのコンビって合うのかな?」と思っていましたが、それは杞憂でした。

もう何年も一緒に組んでいるかの様なピッタリなトップコンビだったのです。

宙組では真風涼帆さんと組んでおり、その時も実力を遺憾なく発揮していましたが、花組に異動し柚香さんと組んでからは、より表現に幅広さが出た気がします。

トップ娘役を務めた期間は宙組と花組併せて約6年半です。正直星風さんがここまで長くトップ娘役を務めるとは思っていませんでした。
ましてや組替えをするとはご本人も思っていなかったでしょう。

更にコロナウィルスの流行による艱難辛苦にも合いました。
しかしそれでも、トップ娘役として輝き続けたのは本当に凄い事です。お見事という言葉では物足りません。

東京公演千秋楽の2024年5月26日(日)付でご卒業されますが、その日まで応援し続けたいと思います。

また、ご卒業後も充実な人生を歩む事を祈っております。

フリードリッヒ・アドラー:永久輝せあ

ナチス・ドイツのパリ占領軍の文化統制副官の役。

役柄としてはフランスとは敵対してますが、決してフランスやフランス人を侮蔑したり差別したりする訳ではありません。
「アルカンシェル・ド・パリ」の団員達に、禁止されているジャズを使ってレビューをしてほしいと頼む程で、とても敵対関係とは思えない良好な仲になります。

また、星空美咲さん演じるアネットをドイツ兵から助けるなど、紳士を絵に描いた様な人物です。

あまりにも人間的に素晴らしすぎるので、「この様な男性が果たしているのか? ましてや戦争中に」と思ってしまった程です(笑)。

この好青年過ぎる役は永久輝さんにピッタリでしたね。

因みに永久輝さんと星空さんのお2人だけの場面がありますが、観ながら「このお2人が次期花組のトップコンビになるんだなぁ」とちょっと感慨深くなりました。

柚香さんと星風さんのトップコンビとはまた違う雰囲気になりそうですね。

ペペ:一樹千尋

「アルカンシェル・ド・パリ」のコメディアン、イヴ・ゴーシェの曽祖父の役。

出番の数はそれ程多くはありませんでしたが、登場しただけで舞台の雰囲気を締めましたし、特に2幕目でのソロは涙を誘いました

一樹さんの温かみと深みがある演技は、観ていて本当に安心します。

コンラート・バルツァー:輝月ゆうま

ナチス・ドイツのパリ占領軍の文化統制官の役。

今作の主役は言うまでもなく柚香さんが演じるマルセル・ドーランですが、裏の主役は間違いなく輝月さんが演じたコンラート・バルツァーだと断言して良いでしょう。

このコンラートという男はまぁ本当に悪い奴で、自分の出世の事しか頭になく、占領下に置いたパリの人民達は勿論、自分の部下の命すらも考えていないのです。

フリードリッヒ・アドラーとは全く真逆で、憎々しさを絵に描いた様な人物です。
こんなのが身近にいたら本当に嫌になっちゃいます。

しかし、この難役を輝月さんはしっかりと堂々と演じ切っていました。勿論、歌も良かったです。
ですが実を言うと、輝月さんが今作に出演すると聞いた時、不安がよぎったのです。何故かというと星組公演『1789-バスティーユの恋人たち-』で演じたラザール・ド・ペイロール伯爵があまりにも「・・・」だったからです(あくまで私見)。

ですが、今作では他の出演者を圧倒していました。
迫力・恐ろしさ・傲慢さなどをこれでもかと表現しており、輝月さんがいなかったら今作は成り立たなかったと言って良いでしょう。

あそこまでの悪役を演じるのは大変だったと思いますが、同時に楽しかったのではないでしょうか?

何回も書きますが、もう本当に見事でした。

今作で1番良かったです。

今後の輝月さんのご活躍が益々楽しみになりました。
出来るなら本公演に多く出演してほしいです。

マダム・フランソワーズ・ニコル:美風舞良

「アルカンシェル・ド・パリ」の劇場主の役。

役名の通り劇場の責任者の役です。
団員達の事をしっかりと考え、支えている人物を表現していました。

役柄としては地味ですが、いないと纏まりにも欠けるので重要な存在だったと言えるでしょう。

コーエン/ギヨーム・ブラン:紫門ゆりや

コーエンは「アルカンシェル・ド・パリ」のプロデューサー兼演出家の役。
ギヨーム・ブランはレジスタンスのリーダーの役。

コーエンは1幕目の最初しか登場しません。
しかし自身がユダヤ系フランス人なので、亡命する必要がある事と、ナチス・ドイツが近付いてきている事を示すのに、重要な役割を果たしていました。
台詞も本当に少しだけでしたが、紫門さんのハッキリした演技が印象に残りましたね

ギヨーム・ブランは1幕目の半ばぐらいから登場します。
髭を付けた姿や少し落ち着いた喋り方に、レジスタンスのリーダーとしての風格が出ていたと思います。

花組副組長になって初の本公演作品ですが、もうすっかり花組生として馴染んでいました。
ただ、花組の副組長は紫門さんになるまで短期間の就任が続いていたので、紫門さんにはどうか長く花組を支えてほしいと思います。

ジェラール:舞月なぎさ

「アルカンシェル・ド・パリ」のスターダンサー兼振付家の役。

登場するのは1幕目の始めと2幕目の終わりのみです。

紫門さんが演じたコーエンと同じく、ジェラールもユダヤ系フランス人です。その為、亡命をします。
再び登場した時は米兵となっています。

マルセル・ドーランと再会した時は懐かしさを味わっており、別れる際は明るく振舞っていました。

出番は本当に少なかったですが、印象には残りました

ただ、舞月さんは今作で宝塚をご卒業されるので、もう少し出番や台詞を増やしてほしかったですね。

ご卒業後はどの様にされるかは分かりませんが、幸溢れる人生になる事を祈っております。

オットー・フォン・シュレンドルフ:羽立光来

ナチス・ドイツのパリ占領軍の総司令官の役。

喋り方や歩き方などに総司令官としての風格が出ていました。

また、演技が上手かったのは勿論ですが、ソロでの歌もありました。羽立さんの朗々とした深みのある歌声を聴けてとても嬉しかったです。

ジョルジュ:綺城ひか理

「アルカンシェル・ド・パリ」のスター歌手の役。

元々は「アルカンシェル・ド・パリ」の歌手として活躍していましたが、パリ占領後の劇団のやり方に納得がいかず、また、マルセル・ドーランへの嫉妬もあり、フランス人でありながらナチスへ入党してしまいます。
ジョルジュは「アルカンシェル・ド・パリ」はおろか、フランスの裏切者になってしまいました。

しかし最後の方の場面で、パリを水没させようとする気が狂ったコンラートを撃ちます。

撃った後に声を上げて泣き崩れますが、その時の嘆き声には恐らくフランスを裏切ってしまった事だけでなく、そんな自分を受け入れてくれたナチスをも裏切ってしまった気持ちもあったのではないかと思いました。

何だかこの役は星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』で礼真琴さんが演じたディミトリに、ちょっと似ている気がしないでもないです。

マルセルやフリードリッヒ・アドラーと比べると、プライドばかり大きくて器が小さい男の様に感じましたが、人間の弱さや脆さをとても上手く表現していた役だとも言えます。

同情する訳ではありませんが、ジョルジュが裏切ってしまった気持ちは充分に分かります。

決して格好良いとは言えない役でしたが、複雑な心理を持ったこのジョルジュという役を綺城さんは見事に演じ切っていたと断言して良いでしょう。

イヴ・ゴーシェ:聖乃あすか

ぺぺのひ孫、少年イヴの孫でストーリーテラーの役。

舞台の年代は1940年代前半の設定ですが、イヴ・ゴーシェのみ2024年現在の人物です。ですので他の登場人物とは接する事は無く、時代や状況の背景を説明するストーリーテラーに徹しています。

1人だけ2024年の人物なので、不自然にならないかなと思わない訳ではありませんでしたが、しっかりと舞台には馴染んでいましたし、説明をしてくれる事で、より舞台の状況が分かりました。

ソロで歌う場面がありますが、歌もどんどん上達しており、朗々と歌唱していました。また、その歌声には男役の色気を時折感じる事があったので、少しゾクゾクっとしましたね

シルヴィー:美羽愛

「アルカンシェル・ド・パリ」の団員の役。

台詞はそんなに多くはないですが、最初の方の場面で踊っていた姿は可愛らしかったです。

観ていて他に気付いたのは、愛加あゆさんにだんだん似てきた事です。最初は舞羽美海さんに似ていましたが。そう思うのは私だけでしょうか?

鴛鴦歌合戦』の感想にもほぼ同じ事を書いていますね。

「可愛い以外言う事無いのか?」と思われるかもしれませんが、本当に可愛かったのですからお許し下さい。

アネット:星空美咲

「アルカンシェル・ド・パリ」の歌手の役。

凛とした立ち姿や澄んだ歌声に更に磨きがかかっていました。それだけでなく舞台人としての、逞しさも身に付けてきたと思います。

出番や台詞も多く、完全に娘役2番手の位置にいました。

永久輝さん演じるフリードリッヒ・アドラーと恋に落ちる関係になるので、お2人で並ぶシーンも多くありました。どちらも背が高いので見栄えがするトップコンビになるでしょう。

少年イヴ:湖春ひめ花

ぺぺの息子、イヴ・ゴーシェの祖父、「アルカンシェル・ド・パリ」のアコーディオン弾きの役。

出番や台詞も多く、少年特有の可愛らしさをしっかりと表現しており、憂いのある表情が特に上手かったと思います。

現在研5ですが、この役をきっかけにどんどん抜擢されると良いですね。

主だった役以外はあまり・・・

個人的に今作で特に印象に残った役は、先に書きましたが輝月さんが演じたコンラート・バルツァーと、永久輝さんが演じたフリードリッヒ・アドラーです。

この2人は全くと言って良い程の正反対の役柄でした。しかもこの2人がパリ占領軍の文化統制官と文化統制副官という階級は違えども同じ役割を果たす任務に就いていたのもポイントです。

この2人はどちらかが片方欠けても絶対に駄目です。コンラートだけだったらもしかすると胸糞展開になっていたかもしれないですし、フリードリッヒだけだったらパンチに欠けて冗長になっていたかもしれません。

どの役も重要ですがコンラートとフリードリッヒは特に重要だったと断言して良いでしょう。

舞台としては分かりやすく纏まっていたと思いますが、個人的にはもう少し他の組子にも出番や台詞を与えてほしかったですね。

特に「アルカンシェル・ド・パリ」の団員/スタッフ且つレジスタンスの役を演じた帆純まひろさん、一之瀬航季さん、侑輝大弥さん、希波らいとさんは4人で1人みたいな扱いだったので、この辺りをもう少し役柄や台詞に変化などを付けて特徴を明確にしてほしかったですね。特に帆純さんは今作で退団するので。

また、愛蘭みこさんと美里玲菜さんも今作で退団します。このお2人はご卒業するというのに全然目立った役ではありませんでした。

勿論、こういう配役にした事には意味があるのでしょう。ただ、もう少し何とかしてほしかったというのが本音ですね・・・。

以上が『アルカンシェル~パリに架かる虹~』の役ごとの感想でした。
何回も書きますが輝月さんが特に良かったです。輝月さんのファンなら是非観てほしい作品です。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。趣味はハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴く事、宝塚(全組観劇派)を観る事、美味しい物を食べる事です。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿しています。