ジョージ・サルマナザール『フォルモサ 台湾と日本の地理歴史』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
フランスの著述家、ジョージ・サルマナザール(George Psalmanazar)が書いた『フォルモサ 台湾と日本の地理歴史』(原田範行・訳、平凡社ライブラリー)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
偽書だが面白い
本書のタイトルだけ見ると、台湾と日本の事について書かれているのかな、と思うでしょう。確かにその事が書かれています。
しかし、記載の内容は出鱈目なのです。台湾や日本の事を知っている現代人が読んだら「なんだこりゃ!?」とツッコみたくなる様な事が色々と書いてあります。
何故なら、本書は偽書だから。
とは言っても、表面的な嘘で取り繕っているのではありません。緻密に書いているので、当時のヨーロッパの人々が、これを信じてしまってもおかしくない気がします。
本当の事も少し混ざっているから尚更厄介。
ですので、ある意味サルマナザールは想像力が豊かで才能があると言っても良いでしょう
わざわざ図版まで丁寧に載せていますし。
内容が出鱈目とは言え、読み物としては結構面白かったです。
別の世界線の台湾と日本だと思えば、楽しく読めるのではないでしょうか?
当時の人々を笑えないと思う
本書が1番最初に刊行されたのは1704年頃です。その当時は当然SNSは勿論、スマホもパソコンも無いアナログな時代です。なので、遠い国や知らない国の情報を現代みたいに簡単に手に入れる事は出来ません。
そういう環境だったという事と、サルマナザールの巧みな虚偽により、当時の人々は疑いもせずに信じてしまったのでしょう(一部、疑っていた人はいたみたいですが)。
私がもし、当時のヨーロッパ人だったら信じちゃったでしょう。
現代人が「何やってんだよ」と笑うのは簡単です。
ですが、現代の私達なら騙されないと果たして断言出来るでしょうか?
訳者の原田さんが解説に書いてますが、本書は風刺作品だと断言して良いです。
現代だって、あちこちでサルマナザールもどきの様なのごろごろいます。で、そういう人に限ってSNSとかでバズったりするのです。
簡単に信じて騙されるのは、当時も現代も全く変わっていないと私は思います。
書かれている内容
本書は前半にフォルモサの宗教、結婚制度、葬儀、服装、家、宮殿、迷信、食べ物、言語などについて書かれています。
後半はサルマナザール自身のの改宗について細かく載っています。
とにかくツッコミどころが多いですが、読みながら噴き出したり感心しながら読んでました。なので、「嘘を書くんじゃない!」と言った気持ちは湧きませんでした。
色々と印象に残ったりした事はあったので、少し箇条書きでピックアップします。
- フォルモサとは住人が「ゴッド・アヴィア」と呼ぶ島
- メリヤンダノーが日本を支配していた
- 日本の信仰の描写は実際とはかなり違うが、逆にそれが凄い
- 生贄の描写はリアルで生々しい
- アミダ、ザッカ、ナコン、アルバロ・・・そういう名前の神々がいた
他にもまだまだ驚いた事が書かれています。
因みにフォルモサとは台湾の事ですが、完全にフォルモサ=台湾という感じでもない気がしました。その点がまた読者を混乱させるかもしれない・・・。
ですが、とにかく読み応えはありました。
簡単なまとめ
内容はどうあれ、本書に書かれている内容は興味深くて面白かったです。サルマナザールは後に偽書だと言っていますが、執筆をしている時の心境がどんな感じだったのか気になりますね。
偽書なので言わずもがな誤った事が書かれています。それもちょっとではなく殆どが。
普通なら、そんな内容の本は歴史の中に消えてしまう筈です。
でも、300年以上経った今もこうして残っているのは、偽書とは言えそれだけの魅力があったからではないでしょうか?
また、「嘘をつくなら、ここまで徹底してやれ」という見本を示しているのかもしれない・・・。
「なんか変わった本を読みたいな」と思っている人は、本書を是非とも読んでみてはいかがでしょうか?
作者の想像力や構成に圧倒されると思います。
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