速水健朗『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
日本のライター/編集者、速水健朗(はやみず けんろう)さんの『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』(朝日新書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
私はフード右翼寄り
本書に登場するフード左翼とフード右翼は著者の速水さんが作った言葉です。
大雑把に書くとフード左翼はベジタリアン、ビーガン、マクロビオティック、オーガニック食品が位置づけられます。
フード右翼はジャンクフード、農薬や添加物を使った安い食品、メガフードなどです。
読み終わって思ったのは、私は完全にフード右翼寄りだなという事です。
正直、私は「その食べ物や食品がどの様にして作られているのか?」をあまり考えた事はありません。せいぜい外国産ではなく日本産を選ぶ程度です。
それだけでなく、「安くて美味ければ尚良し」とすら思っている始末です(笑)。
大らかと言えばそうなのかもしれません。「もっと食に関心を持て!」と言われたら、それもそうかもしれません。
ただ、本当の事を書くと、本書を読んだ後に私はフード左翼に行くかというと、現時点では無いです。
確かに農薬や化学肥料を使わない食べ物には、魅力やメリットはあります。
これは私の性格の問題ですが、正直、いちいち農薬が入っているか否かなんて確認をしていられないですし、ましてや2026年現在は物価高の時代です。
申し訳ないですが、大量生産の安いフード(それも最早安いとは言えない領域に入って来てますが・・・)の方に手を伸ばさざるを得ないのが現状なのです・・・。
有機栽培の野菜とかは確かに美味しいですが、しょっちゅう買うのは難しいですし・・・。
世界は1つになれないのかも
以前、高城剛さんの『オーガニック革命』を読みました。その時にも実は思ったのですが、フードでこれだけ意見が分かれるだけでなく、対立する事があるのです。なので「あぁ、世界は1つにはなれないのかも」と思ってしまいました。
「主語がデカい」「飛躍している」と感じるかもしれませんが、私はそう思わざるを得ません。
誰が何を食べるのか?
それはその人自身が決めるのは言うまでもないですが、他人がいちいち口出しをするのはどうなんだろう? と首をかしげてしまいます。
地域や国といった大きい枠ではなく、家庭内でも食について意見が分かれた経験がある人もいるのではないでしょうか?
もしかしたら、食の問題で家庭崩壊している所もあるかもしれません・・・。
どっちが上とか下なんて無い
フード左翼とフード右翼、ただ考え方が違うだけであってどちらが良いとか悪いなんてないし、どちらの方が上とか下も無いでしょう。
今に始まった事ではないですが、どういうフードを選ぶのか? それは個人の自由の筈ですが、何となく他人の目を気にする肩身の狭い世の中になってきている気がする、と言ったら大袈裟でしょうか?
本書では出てきませんでしたが、ふと思ったのはウーバーイーツや出前館で食事を頼む人って、フード左翼とフード右翼、どっちが多いんでしょうね?
フード右翼っぽく感じますが果たして?
印象に残った言葉
読んでいて個人的に印象に残った言葉が幾つかあるので引用します。
行列ができるラーメン店は、国民的関心事であるというよりも、それに関心を持つことで日本人である自分たちのことを確認している様だ。
ラーメン店に限らず、夕方のニュースとかバラエティー番組とかでグルメを取り上げる事はよくありますが、その様な見方があるんだなと感じました。
個々人に政治思想であるというつもりはなくても、何かを選び取るということは、何かを拒否することでもある。それ自体が小さな政治選択なのである。何を選び何を食べるのか。それはこの国、いやこの世界の未来への一票なのだ。
「何を食べるのかでそんな大げさな」「繋がりがあるのか?」と感じるでしょう。
でも、アメリカでは支持政党によって食べるものが違うらしい・・・。皆が皆そうなのかは分かりませんが。
食べ物を選ぶ時にいちいち思想を考えはしないと思いますが、でもうっすらと個人的な好みや見解が出ているのかもしれません。
人は信じたい情報の側を信じ、信じたくない側の情報は、なかったことにできるのだ。
これは食に限らずあらゆる所で言えますね。信じたくない情報には耳を塞ぎたくなる気持ちは分かります。私も何回もした事があるので。
しかし、それをしてしまうと真の姿は見えてこないでしょうし、どんどん偏向的になる恐れもあります。
なかなか難しいですけどね・・・。
「食の理想社会」というゴールはない。それを妨げるものを排除すべき敵として認定し、妥当せよと極端な方向に進むのでは、食の未来の失敗しか見えてこない。
これも食に限らず色々な事に言えそうです。理想を追い求めるのは結構ですが、人によって利用は違います。Aさんの理想がBさんにとって理想だとは限らない。少し考えれば分かる筈ですが、あまりにも理想に燃えすぎていると、それが見えなくなってしまいます。
フード左翼とフード右翼、上手く折り合える点があれば良いですが。
その他諸々
本書には色々と興味深い事が取り上げられています。
一部挙げると、
- 東京ベジフードフェスタ
- 食品偽装
- ヒッピー文化
- 八郷の「たまごの会」(現・暮らしの実験室)
- 2011年のウォール街デモ
特にヒッピー文化とウォール街デモを食からみた観点がとても興味深かったですね。
簡単なまとめ
食の分断が実際に起きているのか? それを試みた面白い内容の本でした。ただ、タイトルは『フード左翼とフード右翼』となっていますが、内容の多くはフード左翼について割いていました。もう少しフード右翼についても知りたかったので、その点は少し物足りない部分はあったというのが正直なところ。
でも、「そういう見解が成り立つのか!」と興味深い点も多く色々学べる内容になっていると思います。
それにしても食の問題って根深いとつくづく感じました。
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