皆様こんにちは、霜柱です。
原田宗典さんの『どこにもない短篇集』(角川文庫)を読みました。

今回はこの本の感想を書いていこうと思います。
感想
何とも言えぬ不気味さ
本書には17の短篇が収録されています。どれも分かりやすく優しい文体で書かれているので、内容も頭の中にスッと入ってきました。
ただ、その内容ですが、全て何だかどこと知れぬ不気味さや不可思議さがあるのです。怖いという感情とはまた違います。
「もし普段の日常で1つだけ、こういう変わった出来事が起きたら?」みたいな実験をしている感じがしました。普段の日常ではありえない奇妙さを全体的に堪能出来たのも良かったですね。
各短篇について
先に書きましたが17の短篇を読む事が出来ます。
各短篇について、簡潔に感想や思った事を綴っていきます。
ただ開いているだけの穴
その穴っていつ頃から存在していたのでしょうか? 以前住んでいた人はそれについて何も言わなかったのでしょうか?
祖父のメンテナンス
私が気になったのは主人公の両親です。両親はメンテナンスをしているのか、していないのか?
何のアレルギー?
これは病院に行って診てもらった方が良さそうです。精神的な何かが原因かも。
削除
ちょっと安部公房の要素がある気がします。主人公だけ別次元の世界に行ってしまったのか?
角の悪意
これはスティーヴン・キングっぽさを少し感じました。「目玉」の事をスズモトに話したらどう返事するでしょうか?
頭痛帽子
こんな夢を見たら、その日はずっと気分が良くないでしょう。それにしても、よくこんな描写を原田さんは考え付きますね。凄すぎです。
認識不足
例えば、人は何故バナナを「バナナ」と認識出来るのか? 電信柱を「電信柱」と認識出来るのか? そんな事を考えてしまいました。
×(バツ)
主人公もそのうち・・・。
固結びの人
とてもシンプルな話ですが、結構恐ろしく感じました。何だかマジョリティに侵食されているという感じが・・・。
黄色い猫
その猫はいつから存在していたのでしょうか?
厄介なファックス
よく詰まらずに出てきたなぁ・・・。
スコールを横切る
そのフィルムには何が写っていたのかが気になります。もし見たら・・・?
ミセスKの鏡台
これはホラーチックですね。鏡の中にいたのがミセスKでしょうか?
同窓会の夜
主人公は元の姿に戻れたのでしょうか? それとも・・・?
サカグチの引き出し
得も知れない雰囲気がしましたが、それと同時に「サカグチは視力が良くて手先も器用なのかな?」とも思ってしまいました(笑)。
瓶の中へ
詳しい事は忘れましたが、鬼のひょうたんを彷彿とさせました。
空白を埋めよ
元はと言えば主人公の男に原因があるかと。でも・・・。
簡単なまとめ
「ちょっと変わった話を読みたい」という人にお薦めです。どの短篇も奇想天外なところはありますが、書き方がサラッとしているので、その分、物語のリアルな不気味さがより伝わってくると言って良いでしょう。
是非とも、その世界観にどっぷりと浸ってほしいと思います。