中村保男『名訳と誤訳』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
日本の翻訳家、中村保男さんが書いた『名訳と誤訳』(講談社現代新書)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
翻訳は想像力も必要
本書を読んで思ったのは「翻訳って、ただ訳せば良いのではなく、その言葉や文にどんな意味が込められているのか? それを考える想像力も必要なんだな」という事です。
「美しくてしかも忠実な翻訳が名訳」と著者の中村さんは書いています。
私は英語がチンプンカンプンですが、それでも読んでいて翻訳の奥深さを感じる事が出来ました。
〈誤訳の森〉の項が特に面白かった
この項は色々な小説や歌詞の翻訳を取り上げて、中村さんが色々と指摘をしています。中には「そんな細かい部分まで?」と思う所が無きにしも非ずですが、そういう部分こそ手を抜かずに原作者の意図を読み取って翻訳しなくてはいけない、という事なのでしょう。
「その単語にはどんな意味があるのか?」「何故ここでこの単語が出てきたんだろう?」というのを常に意識して訳すのは大変な作業と言えますが、その分、上手く翻訳出来た時は何事にも代えがたい気持ちになるのでしょう。
意味が通じる様に訳さないといけないのは当然ですが、ただ意味が通じれば良いわけでもない・・・。
言葉を訳すのって本当に難しいですね。
〈誤訳の森〉の項ではありませんが、当時(本書が刊行されたのは1989年なので、そのくらいの時かな?)のコンピューター翻訳機で「Time flies like an arrow」を日本語に訳したら「時間蠅は矢を好む」になってしまったエピソードは噴き出しました。
でも、時間蠅ってSFとかホラー系の小説や映画に出てきそうな言葉ですね。
他に印象に残った諸々
本書を読んで印象に残った他の事柄を箇条書きで書きます。
- 慣用句を別の慣用句に翻訳するのは確かに骨が折れそう・・・。
- 辞書を引く事を面倒臭がってはいけない、というのは翻訳だけでなく色々な事に言えそう。
- 「a」「the」などの冠詞を無視するのはNGで、それらがあると無いでは訳し方も変わってくる事。
- 『草枕』の英訳の項は興味深かった。
翻訳ってある意味、職人と言えるでしょう。
簡単なまとめ
翻訳の奥深さを知れたのが良かったです。英語の勉強にも多少はなる気がします、多分。
ただ、本書は翻訳の解説本とは違う気がするので、本格的に翻訳を学びたい方にとっては、少し違う様に感じるかもしれません。
あと、著者の中村さんは時折、毒舌みたいのを言っています。人によってはそういうのを嫌う方がいるかもしれないです。私は大丈夫でしたが。
翻訳は語学力だけでなく想像力も必要です。また、母国語にも通じていないと名訳を誕生させる事は出来ないでしょう。
「翻訳って何なのか?」「名訳と誤訳の違いを軽く知りたい」と思っている方は、本書を読んでみてはいかがでしょうか?
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