五木寛之『こころの天気図』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
日本の作家、五木寛之さんのエッセイ『こころの天気図』(講談社文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
描写や視点が光っている
読み終えて思ったのは、五木さんの巧みな描写と、物事に対する視点がとても光っているという事です。それがもう的確なので、その度に感服していました。
決して難しい書き方はしてません。それなのに何故その様に書けるのか? と思ってしまいます。読みやすくて分かりやすいだけでなく深い。
だからこそ数多の読者を惹き付けるのでしょう。
三部制の内容
本書は「第一部 明日はどうなる?」「第二部 春の小川は冷たいよ」「第三部 原日本人の歩き方」の三部制になっています。
どれも内容に統一性がある訳ではありません。
ですが、個人的には「第一部 明日はどうなる?」は警世系の内容が多い、「第二部 春の小川は冷たいよ」は著者が海外で体験した事や、物の捉え方などジワッと来る系が多い、「第三部 原日本人の歩き方」は言葉系の話が多い、とそれぞれ感じました。
どれも五木さんの言葉が光っていますが、個人的には「第一部 明日はどうなる?」が特に良かったですね。
「第一部 明日はどうなる?」は物事に対する独自の観点が眩い!
この第一部が特に私は惹き付けられました。五木さんの独自の観点や言葉がとても光っていたと感じたからです。
個人的にビビッときたのを幾つか引用したいと思います。
要らないものまでつけ加えるのは、決してサービスではない。
自殺が多いということは、その社会において個人の生命の実感が希薄だということだろう。(略)自分の生命が軽く思われることは、当然ながら他人の生命の重さも実感できないにちがいない。
お上が一般国民のためにあったためしなど歴史には一度もない。そのことをはっきりと自覚しない限り、この国の明日に希望はないだろう。
インフレも忘れた頃にやってくる。
戦争も忘れた頃にやってくる。
飢餓も忘れた頃にやってくる。
それらのすべてを、いま私たちは忘れかけているのではないか。危うし。
まだまだ引用したい言葉がありましたが、以上にします。
読んでどう感じましたか?
中には厳しい意見もありましたが、その度に五木さんの洞察力や観察力の深さに脱帽しました。書いてある内容は1994年~2000年の事ですが、約30年経った2026年現在でも、そのまま通用するものばかりだと言えるでしょう。
でも、それは逆に言うなら、改善とかがされていないという事になるのかもしれません・・・。
とにかく第一部はハッとさせられる内容が多かったですね。
他に〈病に効くが有毒〉〈明日はどうなる?〉〈いまが有事だ〉〈大人が怖い時代〉に書かれていた事も頷く他ありませんでした。これらも今でもそのままだと言えるでしょう。
かと思えば、〈腹八分の説〉〈機械はバカである〉〈出し方の研究〉は噴き出しました。
特に〈出し方の研究〉は真面目に書いているからこそ、尚更印象に残りました。でも内容はその通りだと言えるでしょう。
シリアスな事を書いたかと思えば、ユーモアな事も書ける。
これが五木さんの凄いところと言えるでしょう。
他に印象に残った事
第一部以外にも、色々と強く印象に残ったのがあります。
ここでは、それを箇条書きで書いていきます。
- 〈ネヴァは暗愁(トスカ)をうたう〉は情景が浮かぶ。
- ヘンリー・ミラーと卓球をした事があるとは驚き。
- 五木さんがミミズクを好きな事が伝わってきた。
- 〈ドストエフスキーと大福餅〉の話は噴き出した。
本当に五木さんのエッセイは豊富でバラエティに富んでいます。ですので「次はどんな話かな?」とワクワクした気持ちになるのです。
簡単なまとめ
五木さんの鋭い観察力や洞察力が光っているエッセイ集と言えます。文体は分かりやすくて読みやすいですが、ところどころで五木さんの言葉が輝いているので、その度に私は脱帽していました。
特に「第一部 明日はどうなる?」を読んでほしいですね。書かれている内容は約30年前の事ですが、2026年の今でもそのまま通用する内容で、決して古びていません。
シリアス的な事ばかりと思いきや、ユーモアがあって噴き出してしまうものもあります。書き方もウケを狙っているのではなく真面目に書いているので、尚更インパクトがあるのです。
バラエティに富んでいると言えます。
なので、エッセイが好きという人は是非とも読んでみてほしいです。
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