雪組公演『ポーの一族』役ごとの感想

皆様こんにちは、霜柱です。
私は数日前、『ポーの一族』を観劇した感想を書きました。
今回はこの作品の役ごとの感想を書いていきます。
- 役ごとの感想
- エドガー・ポーツネル:朝美絢
- メリーベル:音彩唯
- フランク・ポーツネル男爵:瀬央ゆりあ
- シーラ・ポーツネル男爵夫人:小桜ほのか
- アラン・トワイライト:縣千
- ブラヴァツキー:美穂圭子
- 大老ポー:奏乃はると
- 老ハンナ:透真かずき
- ビル/オルコット大佐:真那春人
- ハロルド:桜路薫
- カスター先生:天月翼
- レイチェル:妃華ゆきの
- バイク・ブラウン/バイク・ブラウン4世:諏訪さき
- オズワルド/ポール・メイヤー:眞ノ宮るい
- トワイライト家の執事:麻斗海伶
- サミー・アボット支配人:壮海はるま
- レダ/エレン:愛羽あやね
- ジャン・クリフォード:華世京
- ジェイン:華純沙那
- マルグリッド・ヘッセン:白綺華
- マーゴット:星沢ありさ
- ディリー:音綺みあ
- ユーシス:律希奏
- 安定したお芝居が良い!
役ごとの感想
エドガー・ポーツネル:朝美絢
フランクとシーラの義理の息子、メリーベルの兄でバンパネラの役。
登場した瞬間、その美貌に目が奪われた事は言うまでもありません。それだけでなく、歌・ダンス・演技も全て良しです。
少し擦れた様な考え方・性格のエドガーになっていると思いました。
メリーベル:音彩唯
フランクとシーラの義理の娘、エドガーの妹でバンパネラの役。
第一に思ったのは「とにかく可愛い!!」という事です。
声・表情・しぐさなどがもうスンゴイ可愛らしくて、一気に心を掴まれてしまいました。音彩さんのメリーベルを観て、もし少しも可愛いと思わなかったら、その人は心が汚れているのではないか?と私は思ってしまいます。
まあ、それは良いとして、特に印象的だったのはエドガーと1度別れる前までのメリーベルです。ちょこちょこっとした歩き方をする時がありますが、それを観て・・・興奮しました(笑)。
華優希さんのメリーベルも可愛らしかったですが、音彩さんの方は完全にファンタジー的な可愛らしさに振り切っている感じがしましたね。
とても似合っていたと断言して良いでしょう。
私も含めて、音彩さんのメリーベルを観た人は「自分にもこういう妹がいたらなぁ…」なんて思った人は多い筈。実際にいるかは分かりませんが…。
予想以上の仕上がりでした。この役は間違いなく音彩さんの代表作になりますね。
フランク・ポーツネル男爵:瀬央ゆりあ
シーラの夫、エドガー/メリーベル兄妹の継父でバンパネラの役。
洗練されていて品位のある風采が目を引きました。色気を伴っているイケオジの様な雰囲気もありましたね。
歌・ダンス・演技、どれも良かったですが、今回は特に歌が良かったです。
シーラをバンパネラの仲間にした事を悔いる様な歌に、悲哀がこもっていると感じました。
シーラ・ポーツネル男爵夫人:小桜ほのか
フランクの妻、エドガー/メリーベル兄妹の継母でバンパネラの役。
優しそうでエレガントな雰囲気がとても目を引きました。
ビジュアルだけでなく、歌・演技・ダンスも良かったです。特に癖の無い澄んだ伸びやかな歌声はとても珠玉だったと感じました。いつまでも聴いていたいと思わせる歌声だ、と言っても大袈裟ではないでしょう。
シーラは優しくて寛容な性格なので、「こういう人が母親の家庭は幸せだろうな」なんて観ながら思いました。でも、同時に「そんな単純ではないだろうな」とも・・・。
場合によっては子供の我儘を助長させるなんて事もありそうな・・・。
あと、ジェインのウェディングドレスを選ぶ場面を観て思ったのは、「シーラって金銭感覚が常人とは違うね。下手したら普通の買い物感覚で高い物を衝動買いするかもしれない」という事です(笑)。
何はともあれ、シーラは小桜さんにピッタリの役だった事は間違いありません。
アラン・トワイライト:縣千
トワイライト家の子息の役。
『ポーの一族』を再演する際、どの役もそうだったかもしれませんが、特に「アラン・トワイライトはどんな感じになるんだろう?」となりました。
縣さんのアランは少年と青年の中間という感じでした。陰や悲哀がある大人びた感じが印象的です。
強がっている部分はありますが、「僕は凄いんだぞ」という力任せではなく、トワイライト家の辛い部分を隠す為にそうしている様に観えました。
柚香光さんのアランとは大分違っていたかもしれません。柚香さんのアランは感情を爆発させる感じですが、縣さんのアランは爆発しそうな感情を何とかして抑えている感じです。
特にそれが顕著に出た場面があります。
レイチェルとハロルドがイチャイチャしている場面があり、そこに本を持ったアランが近づいてきます。
その場面を目撃したアランですが、柚香さんのアランは憤って持っていた本を床に叩きつけました。縣さんのアランは「見てはいけないものを見てしまった・・・」という絶望感で本をポロっと落とします。
かなりの違いではないでしょうか?
どっちが良いとか悪いとかではなく、演出や表現1つでアランの性格や内面の葛藤の表現が変わるんだなと思ったのです。
ですので、縣さんは縣さんのアランをしっかりと作り込んでいたと言えるでしょう。
あと、縣節があった歌が聴けたのも良かったですね。
ブラヴァツキー:美穂圭子
霊能力者の役。
登場しただけで、その場の空気を変える独特な佇まいが印象的。
それだけでなく、声が少しガラガラになっていたのもインパクトがありましたね。酸いも甘いも嚙み分けてきた霊能力者の様に観えました。
ジャスミンの霊が降臨している時は、別人の様な可愛らしい声になっていました。
なので、「一体どこから声を出しているんだろう?」「美穂さんもこういう声を出せるのか!」などと、声の多様さに「おぉ!」と驚きました。
エトワールに抜擢されたのも嬉しかったですね。
本作で美穂さんは宝塚を退団します。
2008年に雪組から専科に異動してからは、沢山の作品に出演しました。専科生って劇には出てもショーには出ない、というパターンが多いですが、美穂さんは劇とショーの両方に出る事が多かったです。稀有なパターンと言えるでしょう。
数々の舞台で存在感を発揮し、特に芯のある美しい歌声でファンを魅了してきた美穂さんが去るのは本当に寂しいです。
ご卒業後もどうかお幸せな人生を歩む事を祈っております。
大老ポー:奏乃はると
ポーの一族の長でバンパネラの役。
登場するだけで舞台の空気を変えましたね。それだけでなく、確かな演技や歌にも惹き付けられました。特に奏乃さんの朗々とした歌声は、非常に心地良いので体の芯まで染み渡りました。
大老という役でしたが、大袈裟になりすぎず、しかし迫力がしっかりとあった演技も良かったです。
老ハンナ:透真かずき
エドガーとメリーベルの育ての親でバンパネラの役。
1幕目の後半や2幕目にも登場はするのですが、主な場面は1幕目の前半です。
しかし、この1幕目の前半でかなりインパクトを残したと感じました。
透真さんは男役ですが、本作では女役です。「どんな風になるのだろう?」と予想が出来なかったのですが、とても似合っていました。
少し不気味な風格がありながらも、魅力的な妖しさや気品があったのです。声も芯のあるハッキリとした女役の声になっていました。ヨーロッパの幻想小説に登場しそうな雰囲気になっている、と言っても良いかもしれません。
ここまで女役が似合うとは正直思っていなかったです。なので、今後も女役を演じてほしいなと思いました。
ビル/オルコット大佐:真那春人
ビルは庭師の役。
オルコット大佐は元アメリカ陸軍大佐の役。
ビルの出番は1幕目の最初の方だけでしたが、ソロの歌があり目を引きました。
オルコット大佐は打って変わって、髭が長いのが特徴でコミカルさがあった役だと思いました。
どちらも場面を繋いだり、他の役を引き立てる重要な役だったと言えるでしょう。
ハロルド:桜路薫
アランの伯父の役。
決して悪人ではないですが、何としてでも自分の言う事をアランに従わせようとする高慢な感じが出ていました。
アランにとっては厄介な人物かもしれません。そんな役を見事に演じきったと言って良いでしょう。
カスター先生:天月翼
医師、ジェインの父親の役。
落ち着きや風格があり、優しい父親/医師という雰囲気が出ていました。
『ポーの一族』って性格や言動に特徴がある役が多い気がしますが、カスター先生はそうではなく、まあ普通な感じの役です。特筆する様な特徴は無いかもしれません。
ですが、登場すると舞台の雰囲気が少し柔らかくなった気がします。舞台を良い意味で緩和させる役割を果たしていたと言えるでしょう。
レイチェル:妃華ゆきの
アランの母親の役。
出番は限られていましたが、綺麗なお姿が目を引きました。病弱な役柄ですが、凛とした感じが出ていたのも良かったですね。
バイク・ブラウン/バイク・ブラウン4世:諏訪さき
バイク・ブラウンはクリフォードの友人で編集長の役。
バイク・ブラウン4世はバイク・ブラウンの曾孫の役。
諏訪さんはどんな役でもこなします。
バイク・ブラウンの時は実直で丁寧な演技や歌が印象的でした。役柄としては派手さはありませんが、物語を進める上で大事な役だったと言えます。
バイク・ブラウン4世の時は、少し明るめな感じになっていた気がします。しっかりとそれぞれの役を作り上げていたのが良かったですね。
オズワルド/ポール・メイヤー:眞ノ宮るい
オズワルドはユーシスの父親違いの兄の役。
ポール・メイヤーは霊能力者の役。
オズワルドは1幕目にちょびっとしか出ませんでしたが、高貴で綺麗なお姿が目を引きました。
打って変わってポール・メイヤーは全然違う感じです。この役の時、何となくですが見せ方や表情、特に目線の使い方が和希そらさんを彷彿とさせた気がしました。
トワイライト家の執事:麻斗海伶
役名の通り、トワイライト家の執事の役。
最後の方の場面で、「アラン様~」と言いながら下手から上手へ、上手から下手へ走っていたのが印象的でした。
少し低めの声に執事としての情感が伴っていたとも感じました。
サミー・アボット支配人:壮海はるま
ホテル・ブラックプールの支配人の役。
明るい雰囲気で身のこなしが軽かったのが印象的です。
ソロの歌が聴けたのは嬉しかったですし、優雅でありながらも元気な感じが出ている立ち居振る舞いの姿も良かったと感じました。
レダ/エレン:愛羽あやね
レダは老ハンナの召使の役。
エレンはアランの伯母、ハロルドの妻の役。
レダは出番や台詞は限られていましたが、しっかりと舞台を引き締めている役だと思いました。
落ち着きのある佇まいが良かったですね。
打って変わってエレンは高慢そうな喋り方や雰囲気になっていました。夫のハロルドとはあるいみ相性バッチリの夫婦と言えるでしょう。
少しばかり歌が聴けたのも嬉しかったです。
ジャン・クリフォード:華世京
カスターに師事している医師、ジェインの婚約者の役。
本当に何故なのでしょうか?
華世さんは何もしていなくても舞台にいるだけで、目を奪われてしまうのです。スター性があると言う事なのかもしれませんが、それだけではない気もします。
実力がしっかりとあるというのもポイントでしょう。
ハッキリとした明瞭な声、堂々とした立ち居振る舞い、ここぞという時のアピールなど、色々な要素が重なって、そう観えるのかもしれません。
魅力的なお姿は本作でも健在でした。
ジェイン:華純沙那
カスターの娘、ジャン・クリフォードの婚約者の役。
観て思ったのは、〈とにかく自分に自信が無く、主張をしたくても❝どうせ私の意見なんか・・・❞と、完全に他人軸で生きている人〉という事です。
花組では桜咲彩花さんが演じていました。その時にも似た様な事を感じましたが、華純さんの方がより、その性質が強い様に思えます。
自分というのを前面に出さない感じの役だったので、役を掴むのが難しかったかもしれません。
ですが、華純さんはその役を生活感を滲ませながら演じていたのが良かったです。
マルグリッド・ヘッセン:白綺華
グレンスミスの曾孫の役。
芯や張りがありながらも、落ち着いたしとやかな声が印象的でした。とても良い声だと思います。
出番は限られてましたが、物語を進める上で大事な役割を果たしていたと言えるでしょう。
マーゴット:星沢ありさ
アランの従姉妹、ハロルドとエレンの娘の役。
ちょっと生意気だけど生き生きとした元気な少女を、全力で表現していたのが観ていて伝わってきました。
花組では城妃美伶さんが演じてましたが、星沢さんの方が「こういう人いるね」とより身近な存在の様に思えました。
印象に残ったのはアランから「もっといい子がいたんだ」みたいな台詞を言われた時に、「誰よ!?」と聞き返していた場面です。マーゴットがアランを好きか否かはよく分かりませんが、嫌ってはいないでしょう。
いや、むしろ実は関心が大いにあるのかも。そうでなきゃ「誰よ!?」とは聞き返さないのでは?
アランはマーゴットとは絶対に結ばれたくないと思っていますが、マーゴットはもしかするとアランを好きになる様に努めていたのではないか?と推測した次第です。
感情表現が難しい役だったと思いますが、星沢さんにピッタリの役だったと言えるでしょう。
ディリー:音綺みあ
花売りの少女の役。
可憐さのある声や表情に引き付けられました。出番は非常に限られてましたが印象に残りましたね。
ただ、もう少し出番があったらなぁ、とも思いました・・・。もっと音綺さんの台詞を、出来れば歌を聴きたかったという人は多いのではないでしょうか?
ユーシス:律希奏
オズワルドの父親違いの弟。
麗しい姿が目を引きました。出番は本当にちょっとだけでしたが、印象に残る役だったと言えます。
この役の他にピーターとペッペという役もやっていましたが、正直これらはあまり覚えていません・・・。
安定したお芝居が良い!
雪組って本当に歌・ダンス・演技が昔から安定している組だと思います。特にお芝居はしっかりと物語の世界観を出しながらも、やり過ぎない絶妙な塩梅に仕上がっていると言えるでしょう。
今回の『ポーの一族』もそうでした。組長から新人まで緻密に『ポーの一族』の世界を作り上げていたのが観ながら感じました。
観劇の時はいつもそうですが、本作は特に目が全然足らんかったです(笑)。目を引く魅力的な人が多すぎて困りました。
『ポーの一族』の再演は雪組にとってかなりプレッシャーだったでしょう。正直言うと「花組と比べてどうなるんだろうか?」と少し思っていました。
ですが、実際に観たら素晴らしい出来栄え! やはりちゃんと観てから判断しないとダメですね。中には観る前から「花組の方が良いに決まっている」という意見もあったりします。そう思いたくなる気持ちは分からないではありません。
でも、観ずに決めつけるのはあまりにも勿体ないです。
私は本作を観て本当に良かったと思いました。新たな『ポーの一族』を作り上げたと言っても過言ではありません。
今後の雪組の作品もどんな感じになるか、益々楽しみになりました。
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