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DARK MOOR EP『BETWEEN LIGHT AND DARKNESS』感想

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スペインのメロディック・スピード・メタル・バンドが2003年にリリースした企画盤EP。

全8曲収録(アコースティックの新曲4曲に加えて、2ndアルバム『THE HALL OF THE OLDEN DREAMS』と3rdアルバム『THE GATES OF OBLIVION』のヨーロッパ盤には収録されなかった4曲である)。

バンドメンバー

  • Elisa C.Martin:Vocals,Backing Vocals
  • Enrik Garcia:Guitars,Backing Vocals
  • Albert Maroto:Guitars,Backing Vocals
  • Anan Kaddouri:Bass
  • Jorge Sáez:Drums

[主なゲストメンバー]

  • Nacho Ruíz:Choir
  • Mamen Castaño:Choir
  • José Garrido:Choir

前作『THE GATES OF OBLIVION』までメンバーだった、キーボーディストのRoberto Peña de Camúsは脱退し、5人体制となっている。
また、スペインのパワー・メタル・バンド、ARWENのメンバー(当時)のNacho Ruíz、Mamen Castaño、José Garridoがコーラスで参加している。

各楽曲ごとの解説と感想

①Memories

新曲。心地良いアコースティックギターと軽快なヴァイオリンを、聴く事が出来る叙情味溢れる曲。
展開が多く、聴き所も沢山ある。優しい歌メロが印象に残り、ドラマ性のある曲だ。

②From Dawn To Dusk

新曲。軽やかなフルートから始まる曲。全体的に穏やかな曲だが、サビではコーラス隊と共に歌う所があり、その部分が印象に残る。
また、歌メロも覚えやすい。バンドサウンドにして、テンポを少し上げたら、結構盛り上がりそうな曲になりそうな気がする。

③A Lament Of Misery

新曲。ドラマティックな曲で、Elisaの憂いのある歌声が心に染み渡ると共に、曲全体に演奏されているヴァイオリンの音色が、より琴線を揺さぶる。
歌メロに関しては、正直サビはイマイチ盛り上がりに欠けているが、逆にAメロの歌メロは素晴らしい。Aメロの方が圧倒的に印象に残ると思う。

④Echoes Of The Seas

新曲。インストである。出だしの嫋やかで優しいハープの音色から、既に引き込まれる。そこにオルガンとヴァイオリンの演奏が重なる。切なく叙情的なメロディが印象に残る。
しかし1:00から雰囲気ががらりと変わり、弦楽四重奏のみの演奏となる。技巧的でリズミカルな演奏である。こちらは1:00より前の演奏と比べると、あまり陰影は感じない。
正直、1:00からの演奏は蛇足の様に思えた。1:00までのハープを中心とした演奏で終わらせれば、短くも心により強く残った曲になったのではないだろうか。

⑤Misery Of Goddess

3rdアルバム『THE GATES OF OBLIVION』に日本盤ボーナストラックとして収録されている曲。
淋しげなピアノで始まるミドル・テンポの曲である。
この曲はひょっとすると好き嫌いが分かれるかもしれない。何故なら、楽曲自体はメロスピだが、4:12~4:36に弾かれるギターソロがメロスピ風ではない
線が細く、甘い音色ではなく、太く逞しさも感じる王道のHR/HM風の音色になっている。その為、この部分だけ浮いて聴こえてしまった。
また、サビの歌メロはAメロ・Bメロに比べると、少し印象に残りにくいというのはあった。

⑥The Shadow Of The Nile

3rdアルバム『THE GATES OF OBLIVION』に韓国盤ボーナストラックとして収録されている曲。
全体的にアラビアの雰囲気があるミドル・テンポの曲。特にキーボードの音色がアラビア風を醸し出している。
DARK MOORの中では異曲であり、物珍しい曲に感じた。しかし、雰囲気だけが他曲と異なるだけで、他に特筆すべき物は無い
4:06~4:52の間奏では伝統楽器(カチャピか?)やシタールのソロを聴く事が出来る。ギターソロも入ってはいるが、それもアラビア風である。

⑦Dies Irae(orchestral version)

原曲は3rdアルバム『THE GATES OF OBLIVION』に収録されているが、オーケストラ・バージョンは今作が初収録となる。
オーケストラ・バージョンと記載されているが、本物のオーケストラが使われている訳でも、オーケストラ風のキーボードが入っている訳でもない。原曲からギターとベースを抜き、前奏と間奏を少し短くした感じである。

正直、何とも間の抜けた中途半端な仕上がりだ。原曲を聴いた人なら「これはまだ途中段階で、仕上がってないのでは?」と思うに違いない。
はっきり言って、このバージョンは不要である。デモ・バージョンという表記なら、まだ納得は出来た。

⑧The Fall Of Melnibone

2ndアルバム『THE HALL OF THE OLDEN DREAMS』に日本盤ボーナストラックとして収録されている曲。
10分30秒程の大曲。静かな出だしだが、そこにコーラスの合唱が入る。その後、壮大になった所で、激しいギターリフが入り曲調が変化する。
基本的に疾走曲だが、転調が多く、ヘビーな雰囲気になる所もある。それでも、豪華なキーボードの音色は散りばめられており、速弾きのギターソロも聴く事が出来る。

しかし曲全体としては、冗長な所もややあり、歌メロが少し弱く感じたというのが正直な感想だ。悪くはないが良くもない曲だと思う。

全体的な感想

実はこの作品がリリースされた時は、DARK MOOR内で分裂が起き、ElisaとAlbertとJorgeは音楽性の違いで脱退した。バンド内が大変な状況だったのは分かるが、それでも今作『BETWEEN LIGHT AND DARKNESS』は中途半端な作品という感じは否めない。
DARK MOORはアコースティックの曲でも、琴線に触れる曲やメロディが良い曲を作る事が出来るバンドなのだから、もう2~3曲のアコースティックの曲を作って、アコースティックのミニアルバムとして発表する事は出来なかったのだろうか。そうしたら印象が大分変わり、DARK MOORの新たな一面を披露する事が、出来たのではと思ってしまった。
また、ヨーロッパ盤未収録の曲(⑤~⑧)は正直、通常に収録されている曲よりもイマイチである。

その為、今作は物足りなく、纏まりが無いと思うかもしれない。駄作ではないが「何だかなぁ・・・」と言いたくなるもやもやした作品である。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。ハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)と宝塚(全組観劇派)が好きです。 ツイッターも行っており、気儘に呟いています。