公演の感想 PR

花組公演『アウグストゥス-尊厳ある者-』感想

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

皆様こんにちは、霜柱です。

花組公演『アウグストゥス-尊厳ある者-』『Cool Beast!!』を観劇しました。

今回は『アウグストゥス-尊厳ある者-』の感想を書いていきます。

感想の前に・・・

現在(2021年6月時点)、東京宝塚劇場の2階ロビーでは、2001年から20年間の花組の東京宝塚劇場公演のチラシと舞台写真が展示されています(写真が見づらくてすみません)。

愛華みれさんと大鳥れいさんのコンビ作『ルードヴィヒⅡ世』『Asian Sunrise』から展示されています。
最近の作品を除いて、この中では春野寿美礼さんとふづき美世さんのコンビ作『マラケシュ・紅の墓標』『エンター・ザ・レビュー』が名作! どちらも素晴らしくて、琴線に触れる作品です。
どちらも再演してほしいです! ただ『マラケシュ・紅の墓標』は、演出家が既に宝塚を退職した荻田浩一先生の作品なので難しいかなぁ・・・。

オクタヴィウスは等身大の柚香光さんを描いている

とても迫力が合って見応えのある舞台でした。出だしのドーンというドラムの音から引き込まれました。
柚香光さんは、他の作品でもそうですが登場した瞬間から人目を引きます。本当に柚香さんは魅力的な方です。

柚香光さんのオクタヴィウスは、先行画像やポスターを見た時に既に格好良さ・凛々しさが出ていましたが、舞台でもそれは変わりませんでした。

そのオクタヴィウスを中心に物語は進んでいきます。
オクタヴィウスは、最初は育ちの良いお坊ちゃまという感じで、仲間のアントニウス(瀬戸かずやさん)やアグリッパ(水美舞斗さん)などから、半ば呆れられています。

しかし、カエサル(夏美ようさん)やブルートゥス(永久輝せあさん)の死、アントニウスとの対決、そしてポンペイア(華優希さん)の死を乗り越えた後、タイトルにある通り、「尊厳ある者」を意味するアウグストゥスの称号を得ていきます。

オクタヴィウスは最初から強い人物だったわけではありません。剣の強さは圧倒的にアントニウスの方が上ですし、仲間で補佐役のアグリッパも恐らくオクタヴィウスより上でしょう。
また、アントニウスの討伐前に、ローマの広場で民衆に演説する場面では、男らしく頼りになりそうな事を言うのではありません。むしろ畏れや不安を抱いている事を民衆に告げます。何とも正直というか不器用な方という感じです。

その為、オクタヴィウスは後にアウグストゥスの称号を得ても、他の武将や軍人と比べると、それほど英雄という感じはしません。
しかし、その正直で実直な部分が、また人を引き付けるのだと思います。

先に書きましたが、柚香さんが演じた今作でのオクタヴィウスは、柚香さん自身を描いていると観劇しながら思いました。
柚香さんは正直器用な方ではないと思います。また、組子を引っ張っていく(「俺についてこい」みたいな)タイプでもないでしょう。
組子を先頭で引っ張っている礼真琴さんとは真逆のタイプと言えます。その為、人によっては頼りなく見えてしまいます。

しかしオクタヴィウスが頼りになる・信頼出来る仲間と共にローマの為に生きていた様に、柚香さんも同じ花組生と共に、今の花組を強固にする為に力を注いでいると言えるでしょう。

私見ですが、その様な事を観ながら思いました。

他に印象に残った事や気付いた事など

華優希さんの演技が素晴らしい

さん演じるポンペイアは、カエサルに父親を殺された憎しみのみで生きている人物です。舞台で観ていても憎しみのオーラが出ている様に見えました。

さんの出演シーンで1番好きなのは、カエサル暗殺未遂後のポンペイアの邸の場面です。短剣を返すために訪れたオクタヴィウスに対して、低く冷たく抑えた、それでいて爆発寸前の状態の様な声で話すのが本当に堪りませんでした。殺傷力抜群の刃物の様です。
この場面でのさんは、憎しみに包まれていても凛とした表情・立ち居振る舞いをしており、とても美しかったのです。
1つ間違えたら、単に不機嫌な人となりそうな所が、さんは持ち前の演技力で見事に表現しきっていたと言って良いでしょう。

さんの演技に対して功労賞を与えても、誰も文句は言わないのではないでしょうか?

ただ、さんは今作で退団なので、相手役の柚香さんと結ばれる様な役にしてほしかったという気持ちも少しありました(笑)。

瀬戸かずやさんの発狂した演技も素晴らしい

瀬戸さん演じるアントニウスはオクタヴィウスと真逆で、いかにも男らしく荒々しい所もある軍人です。また、自身の欲に忠実な人物でもあります。
このアントニウスは『カリスタの海に抱かれて』で、同じく瀬戸さんが演じたセルジオ・グランディーをやや彷彿させる所がある様に感じました。

アントニウスはオクタヴィウスとの海上での対戦に敗北・退却します。その後、追ってきたオクタヴィウスがローマへ帰ろうと促しますが、既にアントニウスは完全に取り乱した状態になってしまっており、オクタヴィウスの言葉に耳を傾けません。また、アントニウスにはカエサルを暗殺した罪により、自身の手で処刑したブルートゥスなどの亡霊が見えている状態です。

そんな中、「お前は何の為に生きている?」「お前の夢は何だ?」と狂った状態でアウグゥストゥスに問いかけ、最後は自害してしまいます。

この時の本当に狂ったような台詞回し・表情・目つきが良かったです。この場面での瀬戸さんからは不穏な雰囲気がしっかりと表現されていました。

瀬戸さんも今作で退団されます。今回のアントニウスも瀬戸さんならではの格好良さも描かれてましたが、もっと瀬戸さんの瀟洒な部分が活かされる役柄にしてほしかったとも思ってしまいました。

その他

①カエサルを暗殺したブルートゥスがあまり魅力的に描かれていない様に感じました。周りからそそのかされた部分があるとはいえ、はっきり言って「あまり考えなさすぎでは?」と、ちょっと軽い感じがしたのです。
また、カエサル暗殺後に、カエサルの邸に押し入った場面でも、正直喚いているだけの自己抑制が出来ていない人の様に見えました。

永久輝さんの魅力が出ていない役柄で、少し残念でした。

音くり寿さんが演じたオクタヴィウスの姉、オクタヴィアはとても純真な役柄で、アントニウスとは婚約している仲です。ただ、アントニウスがクレオパトラ7世と愛人関係になっている事を知っても、アントニウスの事を想い続けています。
アントニウスが亡くなった後は、喪に服しており、彼を本当に想っている事が分かります。

この様な純粋な役柄をさんは持ち前の実力で演じていましたが、同時に役不足の様にも感じました。

『アウグストゥス-尊厳ある者-』『Cool Beast!!』の公演が終わった後、花組の体制が少し変わります。
特にさん、瀬戸さん、副組長の冴月瑠那さんなどが退団されるので、花組の雰囲気も違ったものになるでしょう。退団者がいる事は寂しいですが、それと同時に新しい体制がどの様になるかが楽しみでもあります。

お読み頂き、有難うございました。ブログ村に参加しています。
にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。趣味はハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴く事、宝塚(全組観劇派)を観る事、美味しい物を食べる事です。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿しています。