皆様こんにちは、霜柱です。
私は先日、花組公演『悪魔城ドラキュラ~月下の覚醒~』の感想を書きました。
今回はその作品の役ごとの感想を書いていきます。
役ごとの感想
アルカード(アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ):永久輝せあ
ドラキュラ伯爵と人間(リサ・ツェペシュ)との間に生まれた青年の役。
登場した瞬間、目を惹きました。凛々しくて目力も強い。それだけでなく冷たさのある表情が、芸術性の高い彫刻の様に感じたのです。本当に格好良く、その端正さにゾクッとしました。声が少しハスキーになっていたのもGREATです。それにより更に魅力と迫力が増したと断言出来ます。
こういったあまり感情を出さない役も永久輝さんにとても合っていたと言えるでしょう。
剣捌きも素敵でしたが、出来たらもっとそれを披露してほしかったですね。永久輝さんは剣捌きも目を見張る実力がとてもあるので。
永久輝さんのファンなら是非観てほしい役です。
マリア・ラーネッド:星空美咲
ベルモンド一族の遠縁、リヒターの婚約者、若きヴァンパイアハンターの役。
ハキハキとしている役柄でしたね。芯がある強い女性というのが伝わってきました。
ソロで歌う時は時に繊細に、時に力強くと変化をしっかりと付けているので聴き応えがありました。混じり気の無い歌声が本当に胸に染みます。
どこにいても見栄えが良くて目を惹くと感じましたね。
ジゼル・ブランシェ:五峰亜季
フランスの中部の小さな村の村長の役。
人の良い感じの役でした。出番は少しだけで、何か物語上で重要な役割を果たす訳ではありません。しかし、本作は緊張する場面が多いので、作品の流れの中で緩急を作っていた役だと感じました。
ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ:輝月ゆうま
ヴァンパイアの主、リサの夫、アルカードの父親の役。
ドラキュラ伯爵としての勇ましさ、迫力、威圧感などがバチバチと溢れまくっていて、いかにも大ボスという雰囲気を漂わせまくっていました。貫禄があり過ぎる程です。
目を惹いたのは風貌だけではありません。歌や演技も素晴らしかったのです。
特に終わりの方での歌は伸びやかで声量もあり、朗々と歌っていました。もう聴き惚れましたよ。
この役は間違いなく輝月さんにうってつけの役だったと言い切って良いでしょう。
マザー・フルーラ:美風舞良
村の修道院のマザーの役。
お喋り好きでお人好しな人物像が伝わってきた役でした。
ただ、それ以外はあまり印象に残らなかった様な・・・。個性的な役が他に多いので仕方が無いのかもしれません。
デス:紫門ゆりや
ヴァンパイアの一味の役。
さて、このデスですがある意味1番の見所かもしれません。何故か?
理由はメイクです。通常の宝塚のメイクではなく骸骨っぽいメイクをしているのです!
声も加工されているので(少し通常の声も混ざっています)、他の役とは完全に一線を画していると断言して良いでしょう。ところで、声の加工ですが、これは鈴木圭先生や音響のスタッフと色々話し合って決めたのでしょうか?
なかなか印象的な役ですが、特に強く印象に残っているのはアネットに化けていて、その後正体を現した場面です。途轍もない不気味さや恐ろしさを感じました。
紫門さんは『桜嵐記(おうらんき)』で高師直を演じた時、〈紫門さんどこ現象?〉が起きたらしいです(笑)。私もこの作品を観ましたが確かにいつもの紫門さんとは違う印象を受けました。
今回のデスももしかしたら〈紫門さんどこ現象? Part2〉みたいのが起きていたかもしれませんね。
この役は紫門さんの中で一二を争うインパクト大の役だと私は思います。
マクシミリアン・ロベスピエール:羽立光来
フランス革命の指導者・政治家の役。
とにかく目立っていました。
台詞は多く、ソロの歌もしっかりと聴かせてくれたのが何よりも嬉しかったです。
後半でシャフトに操られて、態度が激変するのも自然でリアル感がありました。
羽立さんは本作を最後に宝塚を卒業します。
ゆくゆくは花組の副組長や組長になると思っていたので、本当に寂しい限りです。
どうかご卒業後もご多幸な人生になる事を祈っております。
神官シャフト:峰果とわ
ヴァンパイアの一味の役。
何気に本作で1番の悪役だったのではないかと思います。
ロベスピエールやリヒターに対して、魔力を使って意のままに操っていたのが、この役の恐ろしい所です。
峰果さんは声がややしゃがれた感じになっていましたが、それにより他のキャラと差別化を図り、印象をより強めたと言って良いでしょう。
最後はドラキュラにやられますが、それで良かったと思います。
何故なら、もし生きていて、ドラキュラが世を支配したら、今度はその座を狙う様な狡猾さがある様に感じたからです。
リヒター・ベルモンド:聖乃あすか
凄腕ヴァンパイアハンターで、アネットの婚約者の役。
聖乃さんは本当に安定した実力があると思います。観ていて安心感がありました。
ただ、今回は声質、喋り方、台詞の抑揚までが水美舞斗さんに凄く似ている様に感じたのです。目を瞑って声を聴いたら水美さんだと思ってしまいます。その様に感じたのは私だけでしょうか?
2番手としての風格もありました。男らしさや色気も段々と出て来ているので、更なる進化が楽しみです。
神父/オルロック:一之瀬航季
2役みたいになっていますが、実はヴァンパイアの一味であるオルロックが村の神父に化けていたのです。
神父に化けている時は優しくて慈しみがありそうな感じでしたが、実は修道女をヴァンパイアに引き渡そうとしていた悪者です。
アルカードに正体がバレて、豹変するのが印象的でした。
サキュバス:侑輝大弥
ヴァンパイアの一味の役。
実を言うと個人的に1番観たかった役です。
侑輝さんは男役なので、一体どんな感じに仕上がるのかと興味津々でした。
結果を言うと、登場した瞬間、イチコロになりました。しなやかで色気アリアリで妖気をプンプンと漂わせていたのです。本当に魅力的過ぎて困っちゃう(笑)。
しかし、見た目だけでなく、声もちゃんと女役のそれになっていました。目を瞑って聴いたら多分、男役が演じているとは分からないのではないでしょうか?
黒いホットパンツという格好も堪らんなぁ、グヘヘヘ(←気持ち悪いぞ)。
とは言っても、本作の侑輝さんに魅了されノックアウトもされた人は結構いる筈。そうなった人は素直に手を挙げなさい(笑)。
侑輝さんは男役の時も色気があって格好良いですが、今回、サキュバスを演じた事により女役も出来る事が判明。
もし、可能なら女役も今後、可能な範囲で演じてほしいなぁ、と勝手ながら思ってしまいました。
リサ・ツェペシュ:朝葉ことの
ドラキュラ伯爵の亡き妻、アルカードの母親の役。
魔女扱いされて市民達に殺されてしまう役なので、あまり出番は無いのかな、と思いきや予想よりもありました。随所随所で役目を果たしていたと言えます。
母性がある優しい母親という雰囲気が表情や話し方から、しっかりと出ていました。
ソロは鮮明な歌声が響きましたね。
ところで、現在の朝葉さんの立ち場って、星組にいた時の小桜ほのかさんに近いでしょうか?
マグヌス:希波らいと
ヴァンパイアの一味の役。
格好良くて上手かったです。紫がかった髪の毛も似合っていました。
ただ、正直あまり印象に残っていないです。他のキャラと比べると控えめに感じたので、もう少しクセを強くしても良かったかもしれません。
アネット・ラーネッド:美羽愛
マリアの姉で、リヒターの婚約者の役。
雰囲気や声に気品や可憐さがありました。妹のマリアと違って大人しくて優雅なキャラになっていた事により、姉妹のコントラストがバッチリと描けていたと言えるでしょう。
何となく思ったのですが、美羽さんってマリー・アントワネットの役が似合いそうな気がします。
リディ・ベルジェ:初音夢
フランスの中部の小さな村に住んでいる少女の役。
声や雰囲気がとても可愛らしかったです。透明感と愛らしいオーラも出ていました。
出番は多いという訳ではありませんが、限られた中でしっかりと観客に印象付けたと思います。
他の娘役より小柄に感じましたが、それが逆に目立ったとも言えるでしょう。
まとめ
個性的なゲームを原作としているだけあって、登場人物も一癖二癖あるのがなかなか多かった印象です。
宝塚ではこういった作品は珍しいので、出演者は役作りをするのにとても苦労したと思います。しかし、その分クオリティの高い作品に仕上がり、再現も緻密に出来ていたのではないでしょうか?
個人的にはアルカードを演じた永久輝さん、ドラキュラを演じた輝月さん、サキュバスを演じた侑輝さんが特に印象深く残りました。
私は原作のゲームをプレイした事はありません。しかし、ゲームをした事がある人なら、また違った観方や面白さを発見出来る様な気がします。
お読み頂きありがとうございました。ブログ村に参加しています。
にほんブログ村