皆様こんにちは、霜柱です。

ノルウェーの劇作家、ヘンリック(ヘンリク)・イプセンHenrik Ibsen)が書いた戯曲『ヘッダ・ガーブレル』(原千代海・訳、岩波文庫)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。

感想

クセがある登場人物

イプセンの『人形の家』を読んだ時にも思った事ですが、登場人物の性質に何かしらのクセがある様に感じました。
ただ、『人形の家』と比べると、そこまで演劇的という訳ではなく、こちらの『ヘッダ・ガーブレル』の方がより「現実にいそうだね」というキャラ付けになっていた気がしたのです。

主な登場人物について思った事を軽く書きます。

ヘッダ・ガーブレル(テスマン)

本作の主人公です。ただ、正統派ヒロインみたいのではないです。

癇癪を起こしやすいですし、イェルゲン・テスマンとの結婚生活では特に不自由は無い筈ですが、不満があるみたいです。イェルゲンのやる事を一応応援はしますが、それは彼を思ってやるのではなく、自分の存在を示す為、自分の退屈さを紛らわす為にやっている様に感じました。

「ブドウの葉っぱを髪にかざす」という台詞を何回か言いますが、私は「どういう意味なんだろう?」となって分からなかったです。でも印象的でした。

ヘッダは自分の人生に不満や退屈がある様ですが、だからと言って、それをどうにか自分で解消しようとはしない・・・。もしかすると、不満や退屈の原因が何なのか自分でもよく分かっていないのかもしれません。

でも、ヘッダの様な人物は老若男女を問わず、あちこちにいそうな気がします。

あと、ヘッダの最期は衝撃的でしたが、何か急すぎる気がしないでもない・・・と感じました。

イェルゲン・テスマン

一見人当たりが良さそうに見えますが、案外デリカシーが無いかもしれません。自分の奥さんのヘッダに普通に「太った」って言いますし。

もう1つ気になったのは、彼は話す時、語尾に「え?」と言う事が多いのです。単なる口癖なのかもしれませんが、これがくどいというか嫌みっぽく感じる事が多々ありました。

まあ、ある意味彼の特徴と言えるのかもしれません。

エルヴステード夫人

気弱そうにしている性格です。でもヘッダと同じく自分の夫に不満がある様です。とは言ってもその不満が一体何なのか? 「気が合わない」と言っていますが、果たしてそれだけなのでしょうか?

詳しくは書かれていませんが、単に夫婦生活に飽きが来ただけとも言えるかもしれないですし。

ただ、ヘッダよりエルヴステード夫人の方が行動力があるな、と感じました。

エイレルト・レェーヴボルグ

昔、ヘッダを愛していた様です。でも現在はエルヴステード夫人を愛している様に感じさせる描写がありました。

何となくですが、彼は女性に惚れやすい性格の様に感じました。

物語の途中で亡くなってしまいますが、彼の自暴自棄がその原因の1つな気がしないでもないです。もう少し冷静でいられる性格だったら、運命は変わっていたかもしれません。

ブラック判事

丁寧な性格の様に見えますが、物語の後半でヘッダの弱みを握って脅迫する場面があります。

それをしたのはヘッダとの関係を持ちたかったという事でしょうか? そんな気がしますが、それだけではない様な。

隠れていた支配欲や傲慢さが出て来たのが、物語の上で緩急がついたと言えるでしょう。

彼みたいな人も現実にいそうな気がします。

急展開はあるが・・・

正直、途中まではこれと言った展開は起きませんが、イェルゲン・テスマンがレェーヴボルグの原稿を拾った場面から、展開が動き始めます。

最後はヘッダの死という事で終わりますが、個人的には急展開すぎる気がしました。
そこまで一気に死に急いだヘッダの心境が、私にはちょっと分からなかったです。でも、こうなってしまったのはヘッダが、レェーヴボルグにピストルを渡しちゃったからなんですけどね・・・。

何で渡しちゃったんでしょう? それが無かったらこんな事になっていなかったかもしれません。

その時には気付かなかったちょっとした判断ミスが、後々に大きな災いとして自分に返ってくる、という例な気がします。

簡単なまとめ

結末は悲劇的ですが、それ以外は私達の日常でありそうな事の様な気がします。

登場人物も一癖ありそうなのばかりですが、別の言い方をすれば人間臭い、現実感があると言えるでしょう。
ヘッダとかイェルゲンとかブラック判事などに、いけ好かない感情を抱く事があるかもしれません。でも、私達は彼らの様な性質を持っていると思うのです。

よく分からない不満を抱えている、権力を誇示したい、誰かを支配したい、優位に立ちたいなどなど・・・。

なので、人間の感情の醜い面を緻密に描いている作品だと私は感じました。

そういった作品に興味がある人は、是非とも読んでみてほしいです。

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ABOUT ME
霜柱
宝塚(全組観劇派)を観たり、読書(特にジャンルは決めず)をしたり、HR/HM(特にメロハー・メロスピ・シンフォニック)を聴いたり、スイーツ(特にパフェ)を食べる事が好き。これらを主に気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿中。