皆様こんにちは、霜柱です。
私は今回、月組公演『桜嵐記(おうらんき)』『Dream Chaser』を観劇しました。
↓ 『桜嵐記』 の感想はこちら
ここでは、ショー『Dream Chaser』の感想を書いていきます。
全体的な感想
この作品は演出が中村暁先生です。中村暁先生らしい明るくノリの良い綺麗なメロディの主題歌がグッドで、出だしから引き込まれました。
ただ、良い主題歌で盛り上がりそうな曲の筈なのに、何故か妙な落ち着きを感じました。力強さをあまり感じませんでした。そういえば聴いていて音圧もいつものショーより無かった気がします。その影響もあるのか観ていて、不思議な違和感を覚えたのです(音響の調子でしょうか? 他の場面では、その様な事はありませんでした)。
全体的にどの場面も安定感があって、安心して観られます。逆に言うなら斬新さや突飛な演出はありません。
その為、正直に書くと、他のショーやレビューより特段に素晴らしいという訳ではないです。ただ、決してイマイチだったり、ピンとこないという訳ではありません。良質な部類に入る作品だと思います。
個人的に印象に残った・気になった場面・人物
第2章 情熱(スパニッシュ)の場面
上手から鳳月杏さんが青い衣装で登場し、ソロで歌いながら銀橋を渡ります。鳳月さんの伸びやかでクセの無い声がとても良かったです。
銀橋を渡り切った後は、鳳月さんと美園さくらさんと暁千星さんの3人を中心に、ダンスを披露する場面になります。
この場面は鳳月さんと暁さんが美園さんを取り合う場面になっており、それをダンスで表現しています。
最初は美園さんと暁さんが踊っていました。しかし最終的には鳳月さんが美園さんを奪ってしまいました(笑)。
また、奪われた後、暁さんは捌けるのですが、それが何故か「取られた、悔しい~」という思いで捌けるのではなく、「あっ、ここで捌けなきゃ」と気付いて捌けている様に観えてしまったのです(笑)。
鳳月さんは長い手足を駆使して、美しいダンスを披露します。
美園さんは大人っぽい雰囲気が、他の娘役よりもあり目立っていました。
暁さんは1つ1つの動きにキレがあり、格好良かったです。
第3章 ミロンガの場面
この場面では古澤巌さんの「タンゴ・アモーレ」という曲が使われています。リズミカルで、今にも踊りたくなるヴァイオリンのメロディがとても印象に残りました。
ただ、舞台自体は少し暗めでスモーキーな演出であり、心に傷を抱えた様な雰囲気を持つ男女(←私にはそう観えました)が上記の音楽に合わせて、タンゴを踊ります。
観ていて思ったのは、「やはりこういう雰囲気の中でタンゴを踊らせたら、宝塚が1番似合う」という事です。明るい場面ではないですが、とても惹かれました。
第4章 I’ll be backの場面
月城かなとさんを中心に、男役7人で「I’ll be back」という曲で、ダンスと歌を披露します。この曲は韓国のボーイズグループ、2PMの曲です。
とてもフレッシュで格好良い場面になっています。この場面の特徴は月城さんが途中でラップを披露する所でしょう。あれだけ踊り歌いながら、ラップまでするのですから、とても大変で体力を使う場面に違いありません。
K-POPの曲ですが、原曲よりもトランス要素が多くなっていると思いました。また、この場面は他の場面と比べると良い意味でも悪い意味でも非常に目立ったと思います。
良い意味というのは、先に書いた通り月城さんを始め、7名の男役が格好良かったという事です。
悪い意味というのは、他の場面と比べると、あまりにも異質で浮いている気もしたからです。
風間柚乃さんの歌が良い!
銀橋でソロを歌う人は、珠城さん、美園さんを始め、月城さん、鳳月さん、暁さん、風間柚乃さんです。
それぞれ、魅力的で甲乙つけがたいですが、今回は風間さんが特に良かったのです!
低音が効いた伸びやかな歌声が素敵で、聴き惚れました。現在、研8ですが既に研10以上の貫禄を持っている様にも見え、ますます風間さんの活躍が楽しみになりました。
因みに個人的にですが、風間さんは最初、安蘭けいさんを濃くした様なお顔だと思っていたのですが、今回観た際は、少し貴城けいさんの雰囲気も纏っている様な気がしました(そういえば目線の使い方も貴城さんっぽかった様な)。
ロケットが迫力ありました!
コロナウィルスの影響により、若手はA日程とB日程に分かれて舞台に立っていました。その為、その頃のロケットは人数が少なくなってしまったので、若干迫力に欠け舞台が寂しく観えました。
しかし、今回から元に戻ったので良かったです。人数は28名でした。
以前はそのぐらいの人数がいても普通に観ていましたが、コロナが流行った事により、それが当たり前ではない事に気付かされました。
通常に戻った事もあると思いますが、ロケットが以前より元気で溌溂としている様に感じました。
やはり、このくらいに人数のロケットが良いですね。
展開の順番が違うような・・・
珠城さんと美園さんはデュエットダンスを披露した後、珠城さんのみ舞台に残ります。
その後、光月るうさん、紫門ゆりやさん、千海華蘭さん、鳳月さん、輝月ゆうまさん、月城さん、暁さんが登場し、珠城さんはそれぞれと少し絡み、珠城さんを含んだこの8名で踊りを披露しました。
その後、珠城さん以外の人達は捌け、最後は珠城さん1人で終えます。
皆さん優しそうな表情で珠城さんに接していたのが、温かい気持ちになったと同時に寂しさもこみ上げました。とても感動的な場面で「あぁ、珠城さんは本当に退団してしまうんだ・・・」という気持ちになったのです。
しかし、この珠城さんを中心とした男役8名の場面はデュエットダンスの前に持ってくるべきだったのでは?とも思ってしまいました。
この作品は美園さんのサヨナラ公演でもあるのですから、やはり、フィナーレの最後はデュエットダンスで終えてほしかったです。
「そうしたら、美園さんがエトワール間に合わなくなるよ」という声が出ると思いますが、そもそも美園さんをエトワールにする必要があったのでしょうか?
いえ、美園さんにエトワールをやってほしくない訳ではありません。ただ、ここは歌の上手い他の娘役、もしくは珠城さん・美園さんと一緒に退団する人のうちの誰かにやってほしかったです。
先に書きましたが、安定感・安心感がある作品です。そこに上品さを伴った上質なショーになっていると思います。
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