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『METALLION VOL.70』感想

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皆様こんにちは、霜柱です。

私はこの間、Alexi Laihoが表紙の『METALLION VOL.70』を購入しました。

ご存じの通りAlexi Laihoは2020年12月29日に亡くなりました。41歳という若さです。
死因は「アルコールによる肝臓と膵臓の結合組織の変性。更に、体内から鎮痛剤・オピオイド・不眠症治療薬など複数の薬物が検出された」事が原因です。
CHILDREN OF BODOMの解散、そしてBODOM AFTER MIDNIGHTの結成。
新しいバンドで再び活躍をしていこうとする矢先の訃報のニュース。HR/HM界に衝撃や悲しみが走りました。

私もこのニュースを聞いた時は信じられず、フェイクニュースであってほしいと願いました。
しかし、願いは空しく現実のニュースだったのです。

この『METALLION VOL.70』はAlexi Laihoと交流が合ったミュージシャン達が、彼について語っているインタビューです。

今回は、そのインタビューを読んだ際に、印象に残った・面白かった事をピックアップして感想を書いていきます。

※人物名は全員、敬称略です。

感想

イントロダクション

トップはAlexiがSteve Vaiの『PASSION AND WARFARE』にブッ飛ばされた事が書いてあります。

この作品を聴いた事により、Alexiは猛烈に練習を始めたとの事です。

Steve VaiはAlexiの事をこう言っています。

僕自身のこれまでのキャリアを通じて、自分の想像を超えたギターの技術を備えた新たな才能の登場を何度か目撃してきた。その中の1人が、今は亡き偉大なるアレキシ・ライホだ。(略)その驚異的なパワーのあるサウンドと卓越した楽器の扱いに完全に圧倒されてしまった。

Alexi Laihoが自分よりもキャリアがあるSteve Vaiに完全に認められていたという事ですね。
もうこの時点でAlexiが只者ではない事が分かります。

スペシャルインタビュー

Anna Kirkland-Kaukinen

まずはAlexiの実姉、Anna Kirkland-Kaukinenのインタビューが載っています。
Alexiは最初、ピアノを習い、次にヴァイオリンを弾いていたとの事ですが、どちらもあまり好きではなかったようです(笑)。しかし11歳の時にギターを手にし、かなりのめり込みます。
また、姉弟でMTV番組『HEADBANGERS BALL』を観て、SKID ROW、POISON、GUNS N’ROSESなどを発見します。
Alexiのお気に入りの1つがWARRANTの「Uncle Tom’s Cabin」との事です。

その後、AlexiがCHILDREN OF BODOMでデビューし、人気を得た事にAnnaは本当に喜びます。
Alexiはツアーで大忙しになりますが、ツアーから戻った時に、姉Annaの家に寄って暫く定住するというのが決まりになってたとの事です。

小さい頃からずっと仲の良かった、AnnaとAlexi。弟を亡くしたショックはとてもやりきれない物があるでしょう。

クリスマスイヴには私達の家で伝統的なクリスマスの食事を一緒に摂ったの。(略)その夜、アレクシ(註:AnnaはAlexi(アレキシ)の事をアレクシと呼んでいます)が私達の家から去る時、私達は強く抱き締め合った・・・。それが私達の最後のハグになるなんて、夢にも思わなかった。私にとって、彼がいなくなったことを理解するのは、今もまだとても難しい事なの。

Annaの辛く苦しい気持ちが伝わってきます。

因みにAlexiの小さい頃(2歳・4歳・5歳頃)の写真が掲載されていますが、とても可愛らしいです。Wildchildと呼ばれたAlexiにもこの様な時代が合ったのですね(笑)。

Janne Wirman、Henkka Blacksmith、Jaska Raatikainen

次は元CHILDREN OF BODOMのメンバー、Janne、Henkka、Jaskaのインタビューが載っています。

CHILDREN OF BODOMのリハーサルは並大抵ではなく、Alexiは完璧な演奏をメンバーに求めていた事を語っています。また、Alexiは音楽理論に関する知識も莫大で、そうでなかったらJanneは1st『SOMETHING WILD』の後に抜けていたかもしれないとの事です。

CHILDREN OF BODOMは過酷なリハーサルで演奏力を上げ、デビュー後は人気を博しツアーをどんどん行います。しかし、Jaskaはその日々を段々と嫌になってきた事を語っています。

時々、COBのメンバーでいることがかなり苦痛だったこともあるし、それは年を追うごとに大変になっていった。25年ほど経った時点で、もうたくさんだと思ったものさ・・・。

当人達にしか分からない苦しみがあるのが伝わってきますね。どんなに華々しく活躍しても、それは表面的な物であって、当人達にしか分からない大変さや苦しみがあるのでしょう。ましてや、CHILDREN OF BODOMのツアーやレコーディングは途轍もなく大変な事です。

Janneは最後に「おぉ!」と思わせる事を言っています。

今後のリリースやその他諸々に関する話も出ているんだ。

CHILDREN OF BODOMの未発表曲や未発表映像があるのでしょうか? 何か発表があるかもしれないので楽しみですね。

Daniel Freyberg、Mitja Toivonen、Waltteri Väyrynen

BODOM AFTER MIDNIGHTのメンバーのインタビューです。

3人が初めて聴いたCHILDREN OF BODOMの作品ですが、
Danielは友達の家で1st『SOMETHING WILD』を聴いて素晴らしいと思い、その後、シングル『DOWNFALL』を聴いて仰天したとの事。
Waltteriは、自分のお小遣いで最初に買ったのが3rd『FOLLOW THE REAPER』。
Mitjaは子供の頃、父親と一緒に地元の図書館へ行き、4th『HATE CREW DEATHROLL』を借り、「フィンランドで1番クールで1番ヘヴィなバンド」と教えられ、虜になったとの事。Mitjaの父親はかなりイカしていますね(笑)。

3人はAlexiの事をこう語っています。

アレキシはいつだって地に足が着いた人だったし、自分のスキルやそういったものを自慢したりすることは一度もなかった。

Daniel Freyberg

彼はいつだって、凄いカリスマ性を持つ人だった。ステージの上でも、そうでない時でも。アレキシが何か言いながら部屋に入ってくると、誰もが1人残らず彼に注意を向けたよ。

Waltteri Väyrynen

彼は自分でも演奏しながら、同時に、その部屋にいるミュージシャン1人ひとりの演奏を聴いていて、その曲が終わると、誰かが1音でも間違った音を出していたら、それを全部指摘することが出来たんだから!

Mitja Toivonen

Alexiがとても魅力がある事、そして、音楽の事になると、誰よりも集中して懸命になる姿勢が伝わってきます。

ただ、Alexiが完成させた曲はもう出てこないとDanielは最後に言っています。そうなると、Janneが言っていた「今後のリリースやその他諸々」とはどの様な物なのでしょうか?

Kimberly Goss

Kimberlyは写真魔です(笑)。写真を撮る事が好きで、よくシャッターを押していたとの事。

KimberlyはDIMMU BORGIRとCHILDREN OF BODOMのジョイント・ライブで1997年にAlexiと出会います(当時、KimberlyはDIMMU BORGIRのライブ・キーボーディスト)。
その後、互いに連絡やラブレターを送り続ける仲になりました。因みにAlexiのラブレターは今もあると事です!!

ここ10年近く表舞台に出てこなかったKimberlyですが、CHILDREN OF BODOMの後期の作品や、BODOM AFTER MIDNIGHTのEPの校正をしていたとの事です。

Alexiとは2019年秋から、彼が亡くなるまで連絡を取り合い続けていたとの事。

Alexiが亡くなった事を受け、Kimberlyはこう語っています。

私はただ、アレキシの死を無駄にしたくないだけ。私の望みは、フィンランドで記念財団を設立し、こういう同じような悪魔に苦しむ人達を助ける事なのよ。私達はみんな同じ人間であり、みんな苦しんでいるけれど、ただ苦しむだけではなく助けもそこにあるのだから。

因みにSINERGYの新作についても少し触れていますが、出そうにありません(笑)。

Roope Latvala

2004年から2015年までCHILDREN OF BODOMのギタリストとして活躍した人物です。

Roopeの方がAlexiよりキャリアがありますが、1998年にCHILDREN OF BODOMのライブを観て驚き、Alexiの才能を認めざるを得なかったと語っています。

SINERGYのギタリストとして活躍し、その後CHILDREN OF BODOMにも加入しました。
加入後はとても忙しくなったが、最高の日々だったと言っています。

しかし、2015年にRoopeはCHILDREN OF BODOMを解雇されてしまいます。

バンドから去るつもりは全くなかったんだ。だが、他の連中は既に結論を出していて、彼らの考えを変えることはどうしても出来ないようだった、例えば、彼らは、俺がレコーディングの前に新曲のリハーサルをしなかったとか、その他色々なことを言っていたけれど、それは俺の意見とは全く一致しないものだったんだ・・・。

自分の言っている事と相手の言っている事の食い違い。Roopeの言い分とバンド側の言い分、どちらが正しいかは私には当然分かりません。
ただ、Roopeは、10年以上CHILDREN OF BODOMのメンバーだった事を物凄く誇らしく感じられる様になったとも語っています。

Roopeは最近、バンド活動をしていなさそうですが、またバンド活動をし活躍してくれる事を祈っています。

Alexander Kuoppala

1995年から2003年までCHILDREN OF BODOMのメンバーとして活躍したギタリストです。

デビュー前は劣悪な環境の倉庫で働いていたAlexanderですが、その職場に『Spinefarm Records』に知り合いがいるという人物がいました。Alexanderはその人にCHILDREN OF BODOMのテープを渡し、そこから『Spinefarm Records』と契約が出来た様です。

2nd『HATEBREEDER』の頃は、リハーサル場に泊まる事も度々あったという程のハードスケジュール。私なら、すぐに身体を壊してしまいます(笑)。

CHILDREN OF BODOMが絶頂になってくる事に、楽しさや嬉しさも感じ、夢が叶ったと語っています。しかし、最終的に手に負えないものになって、自分の人生ではないように感じていたとの事。そして、AlexanderはCHILDREN OF BODOMを脱退します。

脱退後もCHILDREN OF BODOMの作品は全て聴いていて、今はギターの教師として働いているとの事です。

特別企画:アレキシ・ライホに捧ぐ

ここではHR/HMシーンで活躍する沢山のミュージシャンのインタビューが載っています。
少し名前を挙げるなら、Kerry King、Sebastian Bach、Marty Friedman、Kiko Loureiro、Eric Peterson、Sharlee D’Angelo、Tuomas Holopainen、Gus G.、Herman LiなどがAlexiを語っています。

とても読みごたえがあり、全員Alexi Laihoの事を褒めたたえ、尊敬している事が伺えます。
是非このページは、読んで頂きたいです。

個人的には、短いですがMarco Hietalaも載っていたのが嬉しかったです。

アレキシの最後のインタビュー

当然ですが、このインタビューが最後になるなんて、インタビュアーのTimo Isoahoは思ってもいませんでした。勿論、このインタビューを読む私達もです。

CHILDREN OF BODOMの事にも触れていますが、主にBODOM AFTER MIDNIGHTの事です。
読んでいると、Alexiのバンドや音楽に対する意気込みがとても伝わってきます。

ただ、最後の方の「当面の予定はいかがですか?」という質問には、この様に答えています。

ケリ(註:アレキシのパートナー)と継娘には10ヵ月ほど会っていないので、オーストラリアに行きたいと思っているよ。けれども、2021年1月にはフィンランドに戻ってこないといけないんだ。というのも、もしかしたら2月には幾つかショウをやることになるかもしれないから。
そして、長期的な計画としては、死ぬまで俺はひたすらヘヴィ・メタルをプレイしたいだけだ。それなら俺にも出来るんじゃないかな?

・・・。
残念ながら1月にフィンランドに戻り、2月にショウをする事は叶わない事になってしまいました。
本当に惜しい人を亡くしました。まだまだ、HR/HM界ではAlexiの奏でる音楽が必要だったというのに・・・。

今回の『METALLION VOL.70』のAlexi特集は読みごたえがありました。Alexiが本当に様々な人達から人として・アーティストとして尊敬されている事が分かります。Alexiファンは必読でしょう。
ただ、1つお願いをするなら、この所、表舞台に出て来ていないKimberly Goss、Roope Latvala、Alexander Kuoppalaは昔の写真だけでなく、近影も載せてほしかったという事です(欲張りという事は分かってますが)。

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ABOUT ME
霜柱
神奈川県在住の30代。趣味はハードロック/ヘヴィメタル(特にメロハー・メロスピ・メロパワ・シンフォニック)を聴く事、宝塚(全組観劇派)を観る事、美味しい物を食べる事です。これらの事を気儘なペースで記事にしています。 Xやインスタも気儘に投稿しています。