皆様こんにちは、霜柱です。
宝塚歌劇団にはトップスターという仕組みがあると同時に、トップ娘役というのも存在します。
トップ娘役になった方のみ大劇場でヒロインを演じる事が出来ます。
トップ娘役になった方は、新人公演、バウ公演、外箱での東上公演などでヒロインを経験しています(稀にそうでないレアな場合もあり)。
とは言え、上記の条件を満たしたからといって、全員がトップ娘役になれる訳ではありません。
実力があり見栄えが良くても、トップ娘役にならずに退団した方は沢山いるのです。
今回は娘役スター街道を走りながらもトップ娘役になれなかった方々を取り上げていきます。
まずは、2000年代に退団した娘役スターに絞ります。
※因みに取り上げた方達は私の好みや主観で選んでいます。
※取り上げた方々の全ての出演作を観ている訳ではありません。
個人的にトップ娘役になってほしかった方々
陵あきの
1990年に花組公演『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』で初舞台を踏んだ76期生。
同期には彩輝直さん、純名里沙さん、風花舞さん、月影瞳さん、星奈優里さん、寿つかささん、高翔みず希さんなどがいます。
初舞台後は星組に配属。その後、宙組への異動を経て2002年に退団。
新人公演で3回、バウで1回ヒロインを経験。
陵さんは私が宝塚を観劇し始める前に退団してしまったので、ビデオでしか拝見出来てません。
しかし、映像越しでも歌・演技・ダンスと3拍子揃った実力派という事は伝わってきましたし、見た目も綺麗です。ちょっと檀れいさんに似ていると思います。
『エリザベート』には星組と宙組で1回ずつ出演しており、どちらもヴィンディッシュ嬢を演じました。出番は少ないですが、その分演技力が求められる役です。
2回も演じたという事は、それだけ陵さんの演技が真に迫るものだからと言えるでしょう。
個人的には『砂漠の黒薔薇』で演じた気の強い性格のミスカー、『望郷は海を越えて』で演じたちょっとか弱そうなリュドミラが印象に残っています。
先に書いた様に見た目も実力もあります。それなのに、トップ娘役になれなかったどころか、別箱の東上でヒロインに選ばれてもいません。
星組にいた時は同期の月影瞳さんに抜かされていましたし、宙組では1期下のトップ娘役の花總まりさんの元に甘んじていた感は無くもないです。
退団した時は研12だったので、仮に残っていたとしてもトップ娘役になるのは難しかったでしょう。
運やタイミングに恵まれなかったのが原因かもしれませんね。
千紘れいか
1992年に、雪組公演『この恋は雲の涯まで』で初舞台を踏んだ78期生。
同期には瀬奈じゅんさん、貴城けいさん、大空祐飛さん、檀れいさん、夢輝のあさんなどがいます。
初舞台後は花組に配属。その後、月組への異動を経て2000年に退団。
新人公演でヒロインを4回、別箱でヒロインを2回経験。
陵さんと同じく、宝塚にハマる前だったので千紘さんの出演作品もビデオで拝見したのみです。
千紘さんも歌・演技・ダンス、どれも高レベルな実力の持ち主です。
『EL DORADO』のラウラ、『黒い瞳』のエカテリーナ二世などでは、力強くて迫力のある歌に圧倒されました。
当時の月組トップ娘役、風花舞さんの後任は誰もが千紘さんだと思ったのではないでしょうか?
しかし、後任に選ばれたのは雪組にいた檀れいさんでした。
その後、千紘さんは『LUNA ~月の伝言~』『BLUE・MOON・BLUE ~月明かりの赤い花~』の宝塚大劇場公演の千秋楽で退団(東京宝塚劇場に出演する事は出来ませんでした。理由は他の方々が書いているので、ここでは省きます)。
確かに実力派ですが、トップ娘役に相応しい華があるかというと違う気がします。もしかすると、それが檀れいさんに抜かされた理由なのかもしれないですね。
天勢いづる
1997年に雪組公演『仮面のロマネスク/ゴールデン・デイズ』で初舞台を踏んだ83期生。
同期には彩乃かなみさん、紫城るいさん、愛音羽麗さん、悠未ひろさん、琴まりえさんなどがいます。
初舞台後は雪組に配属。組替えの経験は無し。2009年に退団。
バウで1回ヒロインを経験。新人公演でのヒロイン経験は無し。
実は天勢さんは当初男役でした。男役の時は演技や歌が上手い方だと思って観ていました。
娘役に転向したと聞いた時は驚きましたが、完全に娘役になっており、男役の時と同一人物とは思えませんでした。
男役の時は華やかさに欠けていましたが、娘役になってから明るい雰囲気で華も出てきたので、結果的には娘役に転向して良かったと思います。
ただ本当の事を書くと、雪組トップ娘役に白羽ゆりさんが就任した時「天勢さんのトップ娘役は無理かな・・・」と感じていました。
バウで1回ヒロインを経験したとはいえ路線ではなかったのかもしれません。
脇を固めるタイプだったのだと思います。
美羽あさひ
1999年に雪組公演『再会/ノバ・ボサ・ノバ』で初舞台を踏んだ85期生。
同期には柚希礼音さん、映美くららさん、七帆ひかるさん、後述の山科愛さんなどがいます。
初舞台後は宙組に配属。組替えの経験は無し。2009年に退団。
新人公演で3回、バウホールで4回、日本青年館で3回のヒロインを経験(バウと日本青年館ではWヒロイン1回含む)。
私が初めて観た美羽さんの作品は『鳳凰伝』です。ペルシャ王子の役で可愛らしい子だなと思って観ていました(ただ、このペルシャ王子は斬首されてしまうのです、泣)。
美羽さんも歌・演技・ダンス、どれも遺憾ない実力を持っていました。
後、声がちょっと色っぽいのが特徴ですね。
個人的に好きな役は『バレンシアの熱い花』のシルヴィアと、『Paradise Prince』の ヴィクトリアです。
シルヴィアは可憐で純な女性を演じており、ヴィクトリアは打って変わってキャリアウーマンの様なピシッとした役でした。
新人の時から注目されており、当時の宙組トップ娘役、紫城るいさんの後任は美羽さんだと思っていました。
しかし、後任に選ばれたのは星組から異動してきた陽月華さんです。
ただ、その後も宙組では活躍をし陽月さんが休演した作品『Passion 愛の旅』では代役ヒロインの位置にいました。
その次の大劇場公演作品『Paradise Prince』『ダンシング・フォー・ユー』で2期下の和音美桜さんが退団。今度こそ美羽さんがトップ娘役になるだろうと思いました。
・・・残念ながらここでも選ばれる事はなく、そのまま当時の宙組トップコンビ、大和悠河さん、陽月さんと共に退団しました。
美羽さんがトップ娘役に選ばれなかった理由は何でしょうか?
実力も見た目も申し分ないです。
他の方も勿論そうですが、美羽さんのトップ娘役になった姿は観たかった・・・。
山科愛
前述の美羽さんと同期の85期生。
初舞台後は雪組に配属。組替えの経験は無し。2008年に退団。
新人公演で2回、バウと日本青年館で1回ずつヒロインを経験。
山科さんというと、もうその愛くるしいお姿で目を引きました。本当にお人形の様に可愛らしかったのです。
ただ、役にはあまり恵まれていない気がしました。華があるのでもっと目立っても良い役を演じても良かったはずです。
結局『ソロモンの指輪』『マリポーサの花』で退団してしまいました。
トップ娘役に選ばれなかったのは、身長だと推測します。
156cmというあまりにも小柄な為、ピッタリと合う男役がいなかったのでしょう。161cmぐらいあれば、もしかしたら運命は変わっていたかもしれません。
城咲あい
2000年花組公演『源氏物語 あさきゆめみし/ザ・ビューティーズ!」で初舞台を踏んだ86期生。
同期には凰稀かなめさん、陽月華さん、和涼華さん、緒月遠麻さんなどがいます。
初舞台後は月組に配属。組替えの経験は無し。経験は無し。2009年に退団。
新人公演で4回、バウホールで4回、日本青年館で3回、日生劇場で2回ヒロインを経験。
もう新人の頃は完全に娘役スター街道を走っていました。上記の実績から見ればいつトップ娘役になってもおかしくないと言えます。
当時の月組トップ娘役、彩乃かなみさんの後任は完全に城咲あいさんがなると私は思っていました。恐らく他の宝塚ファンもそうだったでしょう。
しかし、後任に選ばれたのは・・・・・・・・・、いえ、後任者は無し。つまりトップ娘役不在という体制を取ったのです!
私は「何故!? 城咲さんがいるじゃないですか? 何か問題があるんですか!?」と劇団側に文句の手紙を送りたくなったくらいです(笑)。
月組のトップ娘役不在時期は2008年7月7日から2009年12月27日です。1年以上も不在なんて長すぎます。
良い娘役がいなかった? そんな事はありません。2008年頃なんて良い娘役スターが沢山いて、「あの人も良いし、この人も良い。誰を選ぶか迷っちゃうな~」ぐらい豊富だったのです。
なのに不在という体制を取ったのは、今でも理解出来ません。
城咲さんは見た目は華がありますし、実力もあります(歌はやや難ありですが・・・)。
ただ、城咲さんには申し訳ありませんが、これはもう運が悪かったとしか言いようがないでしょう。
でも城咲さんのトップ娘役になった姿は本当に観たかった・・・。
因みに城咲さんが出演している作品で好きなのは『JAZZYな妖精たち』『REVUE OF DREAMS』です。
この時の城咲さんは本当に弾けていて元気一杯で輝いていました。
和音美桜
2001年に宙組公演『ベルサイユのばら2001-フェルゼンとマリー・アントワネット編-』で初舞台を踏んだ87期生。
同期には龍真咲さん、早霧せいなさん、夢乃聖夏さん、後述の華城季帆さんなどがいます。
初舞台後は宙組に配属。組替えの経験は無し。2008年に退団。
新人公演で1回、バウホールで3回ヒロインを経験。
和音さんは歌・演技・ダンス、どれも非常にレベルが高く、特に歌は類まれな実力の持ち主です。
退団公演となった『ダンシング・フォー・ユー』ではエトワールを務めましたが、物凄い歌唱力で客席を驚かせたのです。
また、当時の宙組トップ娘役、陽月華さんが休演した作品『黎明の風』では陽月さんの代役を務めました。とてもお上手で代役とは思えない程でした。
「もしかしたら陽月さんの後任は美羽あさひさんではなく、和音さんがなるのでは?」と、その頃の私は考えていたのです。
しかし、そんな私の考えを破壊するニュースが流れたのです。
『Paradise Prince』『ダンシング・フォー・ユー』で和音さんが退団するというニュース・・・。
フェイクニュースだと思いましたよ。「『黎明の風』で見事に代役ヒロインを演じた和音さんが退団する訳ない」と強く思っていましたが、残念ながら本当のニュースでした。
何故和音さんは辞めてしまったのでしょうか?
残っていたらトップ娘役になれたはず。それなのに・・・。
1作品でも良いから和音さんのトップ娘役姿を拝見したかったです。
華城季帆
前述の和音さんと同期の87期生。
初舞台後は花組に配属。組替えの経験は無し。2006年退団。
新人公演で2回、バウホールとシアター・ドラマシティと日本青年館で1回ずつヒロインを経験。
華城さんも歌・演技・ダンス、どれもこなす実力派でした。華やかさもあります。個人的には渚あきさんのお顔を、もう少し濃くして強さを出した様なお顔だと思いました。
『La Esperanza』や『マラケシュ・紅の墓標』では目立つ役を与えられており目を引きました。
『MIND TRAVELLER-記憶の旅人-』では初の登場ヒロインを務め、これから更に活躍してトップ娘役になるだろうと思っていました。
しかし、突然の退団発表。これには驚きました。
もしかすると、1期下の桜乃彩音さんがトップ娘役に就任した事が関係しているのでしょうか?
羽桜しずく
2003年に月組公演『花の宝塚風土記-春の踊り-/シニョール ドン・ファン』で初舞台を踏んだ89期生。
同期には明日海りおさん、望海風斗さん、夢咲ねねさん、美弥るりかさん、七海ひろきさん、白華れみさんなどがいます。
初舞台後は星組に配属。その後、月組への異動を経て2009年に退団。
新人公演で3回、バウホールで1回、博多座で1回ヒロインを経験。
羽桜さんと言えば、その上品で可愛らしい風貌で注目されていました。
ですので当時のファンの中には「彩乃かなみさんの後任は、城咲あいさんではなく羽桜しずくさんがなるのでは?」と予想していた人もいました。
しかし、城咲さんの項目で書きましたが月組はトップ娘役不在という体制を取りました。
その後、当時の月組トップスター、瀬奈じゅんさんと一緒に退団。
トップ娘役になる事が出来るだけのスター性やオーラは間違いなく持っていたのです。
本当に惜しい人材でした。今でもそう思ってしまいます。
簡単なまとめ
以上の方々が私にとって、トップ娘役になってほしかった方々です。
特に私としては美羽あさひさん、城咲あいさん、和音美桜さん、羽桜しずくさんのトップ娘役になった姿が観たかったですね。
つくづく惜しい人材の方々が退団されたんだなと気付きました。
男役もそうですが、娘役は実力や華があっても必ずしもトップ娘役になれる訳ではありません。特に娘役の場合は運とタイミングの要素が強い気がします。
でも、少なくともトップ娘役という体制はもう取らないでほしいです。どういう理由があれ、頑張っている娘役に対して失礼ですし、意地悪をしている様に見えてしまいます。
宝塚は時折「何でそんなことするの?」という事をして、その度にファンをヤキモキさせたり不安にさせたりするのです。
でも、文句を言いながら、そういうのを楽しんでいる自分がいるというのも、また事実なんですよね(笑)。
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