辻則彦『男たちの宝塚 夢を追った研究生の半世紀』を読んだ感想

皆様こんにちは、霜柱です。
日本の演劇・映画ジャーナリスト、辻則彦さんが書いた『男たちの宝塚 夢を追った研究生の半世紀』(神戸新聞総合出版センター)を読みました。

今回はこの本を読んだ感想を書いていこうと思います。
感想
宝塚歌劇団男子部の歴史が詳しく書かれている
宝塚歌劇団というと劇団員が全員女性というのが大きな特徴ですが、実は昔「男子部」がありました。そこにいたのは男性のタカラジェンヌです。
「えっ、そうなの!?」と知らない方は驚かれるでしょう。ただ、確かに存在はしましたが、定期的に入っていた訳ではありません。
最初は何と1919年という時期に宝塚歌劇音楽学校を設立して、そこに「選科」という枠を作って8人の男性が入学しました。でも、10ヶ月後に頓挫。
その後、1945年~1952年にかけて第1期生~第4期生が入りましたが、1954年3月に男子部は解消。これ以降正式に男性のタカラジェンヌが入る事は一切無しになりました。
彼らは正式に宝塚の大劇場の舞台に立つ事はありませんでした。ただ、とっくに閉館しましたが宝塚中劇場で行われた『さらば青春』という作品で舞台には立ちました。でも、やはり大劇場の舞台にしっかりと立ちたかったでしょう。
因みに『さらば青春』は裏方の男性スタッフも出演していたとの事。今では全く考えられないですね。
男子部の歴史は短いですが、艱難辛苦だったと言っても良い気がします。
男子部にいた人達のその後
男子部が解消されたその後は、北野ダンシングチームや宝塚新芸座に入団した人もいれば、芸の世界から足を洗ってサラリーマンになった人もいます。
元男子部にいた人のインタビューも本書に載っていますが、中には自分が宝塚にいた事を誰にも話していないという人もいました。一言では語れない複雑な思いがあったのでしょう。
読んでいると人生の悲喜こもごもをとても感じましたね。人生は人の数だけありますが、ここまで激動の人生を送っている人達はそうそういないでしょう。
ただ、誌面上からは自身が宝塚にいた事を懐かしく、そして嬉しそうに語っていたのが伝わってきました。それが良かったですね。
因みに本書は2004年に刊行されました。この当時でも元男子部の人達は大分いいお年です。
中には既に亡くなっている人もいました。
著者の辻さんは本書を書き上げるのが非常に大変だったと思いますが、その分、中身が濃く非常に貴重な事を収録した本になったと言えるでしょう。
その他諸々
他に印象に残った事を箇条書きで書くと、
- 1951年の『虞美人』を作家の坂口安吾が観に来ていたとは驚き。
- 小林一三の行動力は本当に勢いや熱がある。
- 昔の宝塚は男子部を作った事だけでなく、外部に出たりと色々な事をしていた。
今と昔では全く違うからかもしれませんが、昔の宝塚は色々と実験的な事をしていたな、今だとほぼ不可能だろう、と改めて思いました。
簡単なまとめ
男子部にいた人達の人生の一部に触れる事が出来た気がしました。入団経緯は異なっても、皆夢を抱いていた筈。ですので、しっかりと大劇場の舞台にその雄姿を立たせてほしかったですね。
男子部の歴史や、そこにいた人達のインタビューなど纏めるのが難しかった部分があったと思います、
しかし、著者の辻さんの「男子部が過去にあって、そこにいた人達の人生を伝えたい」という真摯な気持ちがあったからこそ、この様な貴重な本が出来たと断言して良いでしょう。
なのでページを開いたら一気に読んでしまいました。
興味がある方は是非とも読んでほしいと思います。





