オーストラリアのシンフォニック・メタル・バンドが2011年にリリースした1stアルバム。
全12曲収録(日本盤ボーナストラック2曲含む)。
バンドメンバー
- Jennifer Borg:Vocals
- Karl Szulik:Guitars
- Robb Inglis:Guitars,Bass
- Luke Wenczel:Drums
[ゲストメンバー]
- Silvio Massaro:Vocals(Track 1,8)
- Don Marciano:Keyboards,Chants(Track 3,6)
ゲストとして参加しているSilvio Massaroはオーストラリアのパワー・メタル・バンド、VANISHING POINTのボーカリストである。
Don MarcianoはDIVINE ASCENSIONのメンバーだったが、今作『AS THE TRUTH APPEARS』のレコーディング終了後にバンドを脱退した。
各楽曲ごとの解説と感想
①Answers
高揚感のあるシンフォニックなサウンドから始まる。ノリがとても良く、サビは盛り上がる感じになっている。
それだけでなく、ジャジャンと鳴る荘厳な音色が更に曲を盛り上げているので、聴く者をこれでもかと引き付けると言って良いだろう。
伸びのあるJenniferの歌声は存在感があり、聴いていて気持ち良い。ゲスト男性ボーカルのSilvioも力強い歌声だ。それぞれの歌声のコントラストも見事に合っている。
1曲目として最適だけでなく、出だしを聴いた瞬間「間違いなく良い曲だ!」と言える名曲になっていると私は思う。
②Visionary
ハイテンポな曲で力強い演奏を聴く事が出来る。特に忙しいドラムが印象的。しかし勢い一辺倒という訳ではなく、しっかりと緩急もある。
それだけでなく、シンフォニックでありながらカラフルなキーボードが曲を彩っている。
Jenniferが低音で歌う声も艶っぽくて良い。
この曲もインパクトがあると言える。
③In My Mind
出だしはシンフォニックだ。
全体としてはミドルテンポだが、サビになるとハイテンポになる。
メロディはまあまあだけど、3:38からは特にドラマチックになって、聴く者の気分を一気に高めてくれる。壮大なキーボードが大活躍しているので、それが私にとっては堪らない!
この曲もなかなか良いと言えるだろう。
④Vision Divine
アコースティックギターとキーボードとJenniferの歌声から始まる曲。
ソフトな出だしだが、直ぐに激しめの演奏になる。
③と同じ様に基本はミドルテンポだが、サビになるとハイテンポへと変わる。
ギターソロが特に曲を盛り上げていて良い展開をしており、Jenniferの艶のある歌声も活躍していると言って良い。
⑤Guided By Osiris
ミドルテンポの曲。この曲もシンフォニックなキーボードと、Jenniferの歌声が特に活躍していると言って良いだろう。
この曲は6分20秒程の曲だが、正直ちょっと冗長に感じた。途中、ギターソロとキーボードソロのかけ合いがあり、工夫をしている気はしたが、それでも長く感じてしまった・・・。
演奏は盛り上がっても、歌メロがあんまり盛り上がらない気が・・・。
良い曲だとは思うが、他の曲との差別化をもっとしてくれたら、更に良くなったのではないだろうか?
⑥One Last Caress
出だしはシンフォニックだ。
全体的にアップテンポで、ダイナミック且つドラマチックな曲になっている。
男性コーラスとグランツが入っているのが特徴的だろう。
悪くは無いが⑤と同じ様に、歌メロが印象に残りにくい。
⑦Garden Of Evil
ミドルテンポのシンフォニックな曲。
正直、メロディがちょっと単調な気が。途中テンポは上がったりするが、特段に盛り上がる訳ではない。
う~ん、印象に欠けている様に感じてしまった。
⑧Another Battlefield
シンフォニックなミドルテンポの曲。
率直に言ってメロディがイマイチ。特にサビは盛り上がらない。
①に参加していたSilvioがこの曲でも歌っているが、もっと歌わせた方が良かった気がする。そうしたら、もう少し力強さが出たのではないかと思う。
ただ、曲が全体的に悲し気な雰囲気になっているのは良かった。
⑨Hope Arising
日本盤ボーナストラック。
ポップなピアノを含むバンド演奏で始まる曲。
シンフォニックな感じはあるが、そんなに盛り上がる曲ではない。
しかし、軽やかに跳ねるピアノと、優し気に歌うJenniferの歌声が印象に残った。
他の曲と比べて異色になっており、もし日本語で歌ったらアニソンっぽい仕上がるになる様な気もした。
全体としてはまあまあな曲。
⑩Civilisation
厳かな低音のストリングスで始まるミドルテンポの曲。出だしは良い。
だが、メロディがイマイチで、全体としてもインパクトに欠ける。
何だか色々惜しい様に感じてしまった。
⑪Unscathed
シンフォニックな出だしで壮大なサウンドが聴ける。
だが、(同じような事を書いて申し訳ないが)やっぱりこの曲もメロディがイマイチ。
終わりの方になると多少良くはなるが・・・。盛り上がりにも欠けている。
⑫Not Today
日本盤ボーナストラック。
透き通った悲し気なピアノで始まるバラード曲。
ピアノと荘厳なキーボードが胸に響くだけでなく、Jenniferの貫禄のある歌声が活かされている。
奇を衒っていないシンプルな構成にしたのが、何よりも良かったと言えるだろう。
出来たらこのアルバムの中盤にも、この様な曲が欲しかった。
全体的な感想
ダイナミックでシンフォニックなサウンドを殆どの曲で聴けるので、それが好きな人にとっては堪らないだろう。
だけど、曲が進むに連れてメロディがイマイチになっている気が・・・。
厳しい事を書いてしまうが、①~④と⑫だけ聴けば充分の様な気も。
1曲1曲だけで判断するなら決して悪くはないのかもしれない。本当にシンフォニックの名に恥じない曲ばかりだ。
しかし、アルバム全体で聴くと話は変わってくる。①を聴いた時は、出だしの部分だけでもう「良い作品に出合えた!」と興奮した。④までは確かに「良いね! 良いね!」と思いながら聴けたが、⑤以降は同じ様な曲調や展開が続いているので、正直飽きが来たのは本音。
せっかく流麗なシンフォニックなサウンドやギターソロがあるのだから、本当に勿体ない。もっとメロディや曲の展開を工夫したら、更に良くなったのではないかと思う、
また、日本盤ボーナストラックの⑫の様なシンプルな曲を、アルバムの中盤くらいに入っていたら、印象がまた変わったかもしれない。
バンドの実力や全くもって申し分無いし音質も良い。Jennifer Borgの歌声も艶っぽさがあって個人的には好きだ。低音の時に時々ぬめっとした声質になる(←けなしてません。褒めてます。)。だが、それが非常に印象深くて個性的だと思う。
Jenniferの様なボーカリストはシンフォニック・メタル界隈では、いそうでなかなかいないのではないだろうか?
先に書いたが今作『AS THE TRUTH APPEARS』は「ザ・シンフォニック」なサウンドに仕上がっている。最初から最後まで壮大で優美な音に満ち溢れているのが良い。
だが、メロディや曲の展開について思った事は前述の通り。
なので、今作は「3度の飯よりシンフォニックなサウンドが好きだ」「メロディや曲の展開云々より、とにかくシンフォニックなサウンドが入っている事の方が何より重要だ」などと思っている人なら好む気がする。
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