皆様こんにちは、霜柱です。
私はこの間、東京宝塚劇場で月組公演『今夜、ロマンス劇場で』『FULL SWING!』を観劇してきました。
今回は『今夜、ロマンス劇場で』(脚本&演出:小柳奈穂子)の感想を書いていきたいと思います。
笑いと涙ありのラブストーリー
この作品は武内英樹さんが監督した映画『今夜、ロマンス劇場で』が原作になっており、それを舞台化したものです。
因みに私は映画は未鑑賞のまま、今回の月組公演を観ました。
最初は笑いの方が多め
最初は結構笑いの要素が大きく、ドタバタする場面もあり客席からの笑いも多かったです。
主に笑いを取っていた所は、
- 月城かなとさん演じる牧野健司が、ミスをしたりする所
- 海乃美月さん演じる美雪が、牧野を始め色々な人を叩く所
- 鳳月杏さん演じる俊藤龍之介が、大仰に格好つけたりする所
月城さんの役はハッキリ言って格好良い役ではありません。それでも誰よりも映画を愛し、懸命に助監督として働いて、将来は監督になろうとする事は伝わってきます。
しかし、その思いとは裏腹にミスを連発し、「実際にこんなミスをする人はいないだろう」とツッコみたくはなります。
海乃さんの役はお転婆な王女という設定ですが、こんなにバシバシ叩くとは思っていませんでした(笑)。外の世界の人に触れたら、自分が消えてしまうとはいえ、お転婆が過ぎている気がしないでもないです。
鳳月さんの役は一流の看板スターであり、それを自慢気に言ったりしています。ただ、その言い方が格好つけてる筈なのに、何故かやや大仰な狂言師の様になっているので、そこで笑いが起きたりしたと思うのです。
上記の3名以外にも笑いを取っている場面はありました。
千海華蘭さん演じる成瀬正平は、スタッフに対しては偉そうにしていますが、俊藤に対しては機嫌を取る様に猫撫で声を出したりしてました。
ただ、個人的に一番ツボったのは暁千星さん演じる大蛇丸が、牧野の住んでいるアパートの押し入れから登場した事です。演出的に「絶対にそこから来る」と分かっていても笑ってしまいました。
勿論、はける時も押し入れからです(笑)。
病院のシーンは涙を誘う
打って変わって、現代の病院の場面は涙を誘いました。もう啜り泣きがあちらこちらで聞こえたのです(笑)。
牧野は老人になり入院していて、死が間近という状態ですが、美雪は年を取らず若いままです。
人に触れる事が出来ない美雪は、牧野とは一切触れずに生きてきました。
しかし、最後に「ぬくもりを感じたい」というお願いを牧野にして触れます。その後、消えてしまいます。
台詞はそれ程多くないですが、だからこそ演技力が試される場面だと思います。月城さんと海乃さんは、確かな演技で観客を引き込み感動させていたのです。
お2人の演技は本当に素晴らしいと言えます。
余談ですが、月城さんはお爺さんの姿になっても、凛々しくて素敵ですね!
他に気付いた事
映像と実際の舞台の繋ぎが素晴らしかった
最近の宝塚の作品で、映像が使用される事は珍しくありません。今作『今夜、ロマンス劇場で』でも使用されています。
使用されているのは牧野が観ている映画『お転婆姫と三獣士』です。その場面で舞踏会のシーンがありますが、映像から実際の舞台に変わるのが「えっ、どうやって変わったの?」と思う程、とても上手く繋がっていたのです。
技術的な事は全く分かりませんが、恐らくどの角度から見ても、上手く繋がる様に何回も何回も練習したのではないかと思います。非常に大変だったのではないでしょうか?
また、舞踏会のシーンは最初と最後に、それぞれありますが、最初は白や黒(またはこれに近い色)の衣装でしたが、最後は衣装に色が付けられてとてもカラフルになっていたのが、とても美しかったです。
このシーンによって、牧野と美雪が本当に結ばれた事が分かりました。
美雪は戦闘慣れしている?
美雪はお転婆な王女です。しかし、観ているとただのお転婆王女ではなく、敵と戦った事があるのではないか?と思ってしまったのです。
大蛇丸やその部下を上手く蹴散らしたり、捕まえに来る沢山の映画会社のスタッフ達にも怯む事なく立ち向かおうとする。それどころか小道具の刀で戦おうとしているのですから、ここまでくると頼もしい限りです。
更に野宿にも慣れているので、単なる箱入り娘・何も出来ない王女ではない事が分かりますね。
ですので、美雪のキャラクターは『アナスタシア』のアナスタシア、『はいからさんが通る』の花村紅緒に『CITY HUNTER』の槇村香をちょっと足した感じの様な気がします。
トップ娘役らしからぬ役ですが、海乃さんは体を張りながらも、単なるお転婆王女で終わらず、しっかりと大人の品ある雰囲気を出していました。
この役は海野さんでないと出来なかったと言えるでしょう。
『桜嵐記』に続き、芝居の月組を観る事が出来る作品に仕上がっています。
是非観てほしい作品です。私もまた観たいとは思っていますが、チケットが無いので行けません(涙)。
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